この研究は、サウジアラビアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Functional Food Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、環境中で分解されにくく長く残る化学物質の総称です。広い範囲で見つかること、環境に残り続けること、健康に悪影響を及ぼす可能性があることから、関心が高まっています。飲料水はそのまま飲まれるうえ、食品や飲料の原料や製造工程にも広く使われるため、水に含まれるPFASを監視することは消費者の安全と品質保証の面で重要だと研究チームは述べています。
この研究の目的は、サウジアラビアで市販されているボトル入り飲料水に、選ばれた種類のPFASがどのくらい含まれているかを調べ、汚染物質の監視や、人がどの程度さらされているかを見積もる評価に役立つ地域の予備的なデータを示すことでした。著者らは、新しい分析法を開発することではなく、この地域でまだ情報の少ないボトル入り飲料水のPFASについて実態のデータを得ることを主な貢献として位置づけています。
調べた方法
研究チームは、首都リヤドの小売店で市販されているボトル入り飲料水19銘柄を購入し、分析しました。分析は米国環境保護庁(EPA)の手法「Method 537.1」に基づいて行いました。この手法では、まず固相抽出という操作で水中の対象物質を集めて濃縮し、そのあと液体クロマトグラフィーで成分を分け、タンデム質量分析計で物質の種類と量を測定します。
著者らは、測定結果の信頼性を確かめるため、濃度と信号の関係が直線になるか、同じ測定を繰り返して値がそろうか、加えた物質をどれだけ回収できるか、どこまで低い濃度を検出・定量できるかなどを評価し、品質管理用の試料も用いました。その結果、分析手順は複数の対象PFASについて十分な性能を示しました。ただし、一部の物質では回収率にばらつきがあり、報告した濃度を解釈する際にはこの点を考慮したとしています。
主な結果
分析した試料の大半からPFASが検出されました。濃度は低く、試料ごとにばらつきがありました。試料全体では8種類のPFAS化合物が検出されています。
1つの試料からは、代表的なPFASの一つであるペルフルオロオクタン酸(PFOA)が1リットルあたり59.390ナノグラム検出されました。この値は、研究で規制上の比較基準として用いた米国EPAの最大汚染物質濃度(飲料水中で許容される上限値)を上回っていました。
研究が示すこと
著者らは、分析したボトル入り飲料水の大半でPFASが見つかったことから、飲料水に含まれる分解されにくい汚染物質を継続して監視することが重要だと結論づけています。今回の結果は、サウジアラビアにおけるボトル入り飲料水のPFASについての予備的な地域データです。著者らは、このデータが、今後のPFASの監視、人がさらされる量や健康リスクの評価、消費者と食品の安全に関わる水質保証の取り組みの基礎になりうると位置づけています。
著者:Hibah Alharbi(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Zeyad Aldosari(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Ikram Hawsawi(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Mansour Alhmidi(AnalyticaOne , Riyadh , Kingdom of Saudi Arabia;)、Obaid Alharbi(Water Management & Treatment Technologies Institute,)、Khaled Al Saud(Water Management & Treatment Technologies Institute,)、Njoud Bin Nafjan、Khulood Alnabati(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Yaser Almasoud(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Adibah M. Al-Mutairi(Quality and food safety royal protocol , Hospitality management Department of Chemistry , College of Science , King Saud University , Riyadh 11451 , Saudi Arabia;)、Aroub Alsubail(Department of Chemistry , Umm Al-Qura University , Makkah , 0125270000 , Kingdom of Saudi Arabia)、Abdullah Alsayari(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)、Mohammed Almutairi(Saudi Food and Drug Authority , Riyadh , 0112038222 , Kingdom of Saudi Arabia;)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hibah Alharbi, Zeyad Aldosari, Ikram Hawsawi, et al. Occurrence of per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) in commercially available bottled drinking water in Saudi Arabia. Functional Food Science 2026-10-07. DOI: 10.31989/ffs.v6i10.2069. 原著ライセンス:CC BY.