著者の所属・活動拠点の国は、エジプトです。

掲載誌:Scientific Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

ナスやトマトなどの野菜づくりでは、土壌の肥沃度が収量や品質を大きく左右します。しかし、砂質土壌は保水力や養分保持力が乏しく、持続的な野菜生産にとって大きな制約となることが知られています。化学肥料に頼りすぎない形で、こうした砂質土壌を改良しながら収量や品質を高める方法はあるのでしょうか。今回紹介する研究は、サトウキビ由来の副産物である糖蜜を加工して作られた有機肥料「SOFA」に着目し、鉱物性の窒素肥料と組み合わせて使うことで、ナス(Solanum melongena L.)の栽培にどのような影響が出るかを圃場試験で調べたものです。

研究でわかったこと

この研究では、SOFAを単独で施用した場合と、鉱物性窒素と組み合わせて施用した場合について、2回の連続した栽培期にわたり圃場試験が行われ、土壌の物理化学的性質と作物の生育・収量への影響が評価されました。

その結果、有機肥料と化学肥料を組み合わせた統合施肥によって、土壌の性質や作物の生育成績が大きく改善したと報告されています。特に、窒素肥料50%とSOFA50%を組み合わせた処理(T3)では、ナス1株あたりの総果実収量が8.84kgとなり、無施用の対照区(4.18kg)と比べて111%の増加が見られたとされています。また、窒素肥料75%とSOFA25%を組み合わせた処理(T2)では、茎葉の生育や葉緑素含量、果実の栄養品質が有意に高まったことが示されています。

土壌面では、有機物含量が最大56%増加し、利用可能な窒素・リン・カリウムはそれぞれ最大240%、209%、67%増加したと報告されています。さらに、SOFAの施用は土壌のアルカリ性を和らげ、養分の利用しやすさを高める方向に働いた一方で、施用量が多い場合には電気伝導度がわずかに上昇する傾向も見られたとされています。

果実の品質についても改善が示され、最適化された処理条件下で可溶性固形分(TSS)が42%、アントシアニン含量が49%増加したと報告されています。加えて経済性の分析では、T2とT3の処理区で投資効率を示す指標が5.0に近い値となり、最も収益性が高かったことが示されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、砂質土壌という特定の条件下で、特定の作物(ナス)を対象に、2作期にわたって行われた圃場試験に基づくものです。得られた効果は、施用したSOFAの性質や施用割合、対象とした土壌・気候条件に特有のものである可能性があり、他の作物や土壌条件でも同様の結果が得られるかどうかは、この要旨からは判断できません。また、電気伝導度の上昇など施用量に応じた留意点も報告されており、効果を断定的に受け取るのではなく、一つの研究成果として捉えることが重要です。

まとめ

サトウキビ副産物から作られた有機肥料SOFAを鉱物性窒素と組み合わせて施用することで、砂質土壌におけるナスの収量や果実品質、土壌特性が向上したことが、2作期にわたる圃場試験を通じて示唆されました。この研究は、有機肥料と化学肥料を組み合わせた施肥設計が、肥沃度の低い砂質土壌を持続的に改良していくための一つの選択肢となりうることを示すものといえます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):サトウキビ副産物由来有機肥料(SOFA)と鉱物性窒素の統合施用による砂質土壌でのナス(Solanum melongena L.)の収量・果実品質・土壌特性の向上(サイエンティフィック・リポーツ・2026年07月)

著者:Abdel-Haleem A. H. El-Shaieny(Horticulture Department, Faculty of Agriculture, Qena University, Qena, 83523, Egypt. [email protected])、Ahmed N. Gad El Rab(Research and Development Unit, Qus Sugarcane Factory (SCF), Qena, Egypt)、H.M. Farrag(Soil and Water Department, Faculty of Agriculture, Qena University, Qena, 83523, Egypt)、Abeer Abd EL Moiez Ahmed Bakr(Soil and Water Department, Faculty of Agriculture, Qena University, Qena, 83523, Egypt)、Safaa El‐Nahas(Chemistry Department, Faculty of Science, Qena University, Qena, 83523, Egypt)