日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Journal of Food Bioactives
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
朝起きたときに顔がむくんでいると感じる人は少なくありません。著者らによると、こうした朝の顔のむくみは、眠っている間に体が横になることで体内の水分が顔や首の方へ移り、リンパの流れも弱まることで起こる、一時的で局所的なむくみです。起床後には自然に引いていきますが、重さや不快感が気分を下げ、日々の生活の質に影響することもあると論文は述べています。
研究チームが注目したのは、卵白のたんぱく質を酵素で細かく分解した「卵白加水分解物」(ペプチドの混合物)です。これまでの動物実験では、この素材が末梢の血流を高めるといった報告がありました。また、摂取後に顔のむくみが改善したという経験的な声もありました。そこで研究チームは、朝の顔のむくみを日常的に感じている健康な日本人成人を対象に、この素材を摂ると顔のむくみ感が和らぐかを調べました。
どのように調べたか
試験には、ふだんから朝の顔のむくみを感じていて、事前の評価でむくみ感が一定以上強かった76人(女性62人、男性14人)が参加しました。試験は、本物の試験品と見分けがつかない偽の錠剤(プラセボ)を使う方式で行われました。どちらを飲んでいるかは、参加者にも研究者にも知らされていません。さらに、全員が両方を順番に試す「クロスオーバー」という方法を採用しました。参加者は、先に卵白加水分解物を飲むグループと、先にプラセボを飲むグループに無作為に分けられました。
参加者は1日250ミリグラムの卵白加水分解物、またはプラセボを、就寝前の1時間以内に1週間飲み続けました。その後2週間は何も飲まない期間を置き、残る一方を同じように1週間飲みました。
主な評価項目は、1週間後の起床直後に参加者自身が感じた顔のむくみの程度です。むくみ感は、長さ100ミリの線の上に自分の感覚を印で示す方法で記録しました。0ミリは「まったく感じない」、100ミリは「とても感じる」を表し、数値が小さいほどむくみ感が弱いことを意味します。このほか、目の周りや脚・足首のむくみ感、手足の冷え、ふくらはぎや足首の周囲径なども調べました。途中で除外された人を除き、最終的に61人のデータが解析されました。なお、成分分析では、この素材に含まれるペプチドの多くが分子量500未満の小さなものでした。
主な結果
1週間後の朝の顔のむくみ感は、卵白加水分解物を飲んだ期間が54.8、プラセボを飲んだ期間が58.8でした(いずれも統計モデルで推定した値)。差は4.1で、統計的に意味のある差と報告されています。
一方、脚や足首のむくみ感、冷え、周囲径などの副次的な項目では、プラセボとの間に統計的に意味のある差は見られませんでした。目の周りのむくみ感には改善の傾向がありましたが、はっきりした差とはいえない水準でした。試験期間中、どちらを飲んだ場合にも有害な出来事は観察されなかったと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、卵白加水分解物を1週間毎日摂ると、朝の一時的な顔のむくみ感が和らいだと結論づけています。作用の仕組みとしては、血管の働きを調節する一酸化窒素を介して細かな血流が良くなる可能性を挙げています。ただし、今回の試験では血流などを直接測っておらず、この仕組みはあくまで仮説の段階です。
評価は参加者自身の感覚によるもので、顔の形や皮膚の厚みといった客観的な測定は行われていません。対象者も、むくみを強く感じている人に限られていました。また、研究はこの素材を製造する企業の資金で実施されています。今回の成果は、食品由来のペプチドが朝の顔のむくみ感に関わりうることを、プラセボと比べる試験で示した初期の報告として位置づけられます。
著者:Aoi Tamura(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)、Utano Nakamura(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)、Saki Shirako(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)、Tsuyoshi Takara(Medical Corporation Seishinkai , Takara Clinic , Taisei Bldg. 9F , 2-3-2 Higashigotanda , Shinagawa-ku , Tokyo 141 0022 , Japan)、Yusuke Yamashita(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)、Kenji Sato(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)、Young-il Kim(R&D Division , Pharma Foods International Co., Ltd. , 1-49 Goryo-Ohara , Nishikyo-ku Kyoto , 615 8245 , Japan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Aoi Tamura, Utano Nakamura, Saki Shirako, et al. Effects of egg white hydrolysate on facial swelling: a randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover trial. Journal of Food Bioactives 2026-10-09. DOI: 10.26599/jfb.2026.95035458. 原著ライセンス:CC BY.