ピタヤ(ドラゴンフルーツ)は鮮やかな見た目が魅力の果物ですが、果肉の色づき方には個体差があり、これが商品としての見栄えや価値に影響することが知られています。今回紹介する研究は、果実の肥大を促す植物成長調整物質「ジベレリン酸(GA₃)」を、果肉の色が二色に分かれるタイプのピタヤ(ヒロケレウス属)に施用し、果実の大きさや色にどのような変化が生じるのかを圃場条件下で調べたものです。
研究でわかったこと
研究チームは、GA₃を外部から施用したピタヤについて、果実の成長、可溶性固形物総量(TSS、糖分などの目安とされる指標)、そして果実の色を評価しました。その結果、GA₃を施用した果実では果重・果実サイズ・果皮の厚みが増加し、果実が大きく育つ傾向が見られたと報告されています。
一方で、色に関する測定(明度や色調を数値化するL*・a*・b*値)および見た目の評価では、GA₃を施用した果実は果皮・果肉ともに色が淡く、色のムラも大きくなる傾向が示されました。この傾向は、GA₃の濃度が高いほど、また施用のタイミングが生育の後期であるほど、より顕著だったとされています。なお、TSSへの影響については処理間で一貫した傾向が見られず、はっきりした結果は得られなかったと報告されています。
これらの結果から、研究チームはGA₃の施用によって「果実が大きくなること」と「見た目の色づきの良さ」との間にトレードオフが存在する可能性を示唆しています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は圃場条件下で行われた一つの試験であり、得られた知見は今回の要旨で報告されている範囲にとどまります。GA₃の効果が品種や栽培環境によってどこまで一般化できるか、あるいは色づきの変化がどのような仕組みで起こるのかといった点については、この要旨だけでは明らかにされていません。また本記事はあくまで研究成果の紹介であり、GA₃の施用そのものを推奨するものではない点にご留意ください。
まとめ
今回の研究では、GA₃の施用が二色ピタヤの果実を大きくする一方で、果皮・果肉の色をより淡く不均一にする可能性があることが示されました。果実の大きさと色の美しさは、生産者にとってどちらも重要な要素であり、両者の間に見られたこのトレードオフは、今後の栽培管理を考えるうえで一つの参考情報になりそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ジベレリン酸(GA₃)が二色ピタヤ(ヒロケレウス属)の果実サイズと果肉の色に及ぼす影響(植物成長調節ジャーナル・2026年07月)