この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Greenation International Journal of Economics and Accounting

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは、アレンヤシ(Arenga pinnata Merr.)の樹液からつくるヤシ砂糖が、昔ながらの天然甘味料として親しまれてきました。サトウキビの砂糖にはない独特の風味があり、食べ物や飲み物に加える甘味として使われています。

このヤシ砂糖から派生した製品のひとつが「アリ砂糖(ant sugar)」です。結晶の形をしたヤシ砂糖で、粒の集まった見た目がアリの巣に似ていることからこの名で呼ばれると論文は説明しています。著者らによれば、アリ砂糖をつくる工程は、ココヤシ砂糖や型込めのヤシ砂糖よりも時間がかかります。

研究チームは、チアンジュール県チカドゥ郡を対象に、このアリ砂糖を型込めヤシ砂糖およびヤシ砂糖と比べ、生産者の社会経済的な状況と、アグリビジネスとしての所得の両面から検討することを目的としました。

何を調べたか

著者らは、標本の大きさを決めるためにスロビンの式(Solvin's Formula、一定の誤差の範囲で必要な調査人数を算出する統計的な計算方法)を用いたと述べています。回答者は、原著の記載によれば、アリ砂糖(ant sugar)の生産者64人と、ばら状の砂糖(scattered sugar)の生産者30人です。

分析では、事業から得られる収入から生産にかかった費用の総額を差し引くという考え方で所得を求め、あわせて加工によってどれだけ価値が上乗せされるかを示す付加価値の比率を検討しています。

主な報告結果

論文が示す結論によれば、ヤシ砂糖事業の付加価値比率は「まだ低い」水準にとどまるものの、事業としては採算が取れている、すなわち利益は出ている状態にあるとされています。

所得については、いずれも収入から総生産費用を差し引いた差額として算出されています。著者らは、ヤシ砂糖のプランテーション(palm sugar plantation)についての平均所得を1か月あたり2,295,537.78ルピア、ヤシ砂糖の栽培(palm sugar cultivation)についての平均所得を1か月あたり1,135,535.90ルピアと報告しています。なお原著では、これらの所得の区分と、回答者を分けた製品の区分とが、それぞれ別の言葉で示されています。

この研究が伝えること

この研究は、地域に根づいたヤシ砂糖づくりを「伝統的な食品」としてだけでなく、収入をもたらす事業として数字で捉え直した点に意味があります。加工による付加価値の比率は高くないと報告されながらも採算は成り立っており、報告された平均所得の水準にも幅が見られました。

チカドゥ郡という一つの地域の生産者から集めた具体的な数字は、ヤシ砂糖に関わる人々の暮らしの実態を理解するための手がかりになります。

著者:Yuliana Samantha(Universitas Winaya Mukti, Bandung, Indonesia)、Euis Dasipah(Universitas Winaya Mukti, Bandung, Indonesia)、Ronnie S. Natawidjaja(Universitas Padjadjaran, Jawa Barat, Indonesia)、Tomy Perdana(Universitas Padjadjaran, Jawa Barat, Indonesia)、Firman Sutarman Hasan(CV. Solusi Daring Sukses, Jakarta, Indonesia)、Febry Syaman Hasan(CV. Solusi Daring Sukses, Jakarta, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yuliana Samantha, Euis Dasipah, Ronnie S. Natawidjaja, et al. Economic Value Added of Ant Sugar and Printed Palm Sugar (Arenga pinnata Merr.) in Cikadu District, Cianjur Regency. Greenation International Journal of Economics and Accounting 2026-08-31. DOI: 10.38035/gijea.v4i3.1231. 原著ライセンス:CC BY.