カボチャといえば実を食べるのが一般的ですが、その若い葉も葉物野菜として食べられることをご存じでしょうか。カボチャの葉(Cucurbita maxima)は栄養や機能性成分を豊富に含む可能性がありながら、十分に活用されていない食材だとされています。とはいえ、野菜は生のまま食べることは少なく、多くの場合は家庭で何らかの加熱調理を経て食卓に上ります。では、調理の仕方によって、葉に含まれる栄養や機能性成分はどのように変化するのでしょうか。この点に着目した研究が、学術誌「モレキュールズ」に発表されました。
研究でわかったこと
この研究では、若いカボチャの葉を対象に、家庭でよく使われる4つの調理法――茹でる、蒸す、電子レンジ加熱、炒める――が栄養成分やフィトケミカル(植物由来の機能性成分)に与える影響を調べています。具体的には、栄養成分の組成、アミノ酸の構成、フェノール化合物やカロテノイドといった機能性成分、抗酸化能、さらに抗栄養因子(栄養素の吸収を妨げうる成分)や、糖の分解に関わる酵素「α-アミラーゼ」を阻害する働きについて比較検討されました。
その結果、蒸し調理を行った場合に、フェノール化合物やフラボノイド、カロテノイドの見かけ上の残存量が最も高くなったと報告されています。電子レンジ加熱についても、これらの機能性成分が比較的高い水準で保たれていたとされています。一方で、茹でる調理では機能性成分の損失が最も大きかったとされています。また、α-アミラーゼを阻害する働きについても、蒸し調理が最も強い活性を示したと報告されています。
興味深いことに、抗栄養因子の低減という観点では結果が逆転しています。抗栄養因子を減らすうえで最も効果的だったのは、機能性成分の保持では劣っていた茹でる調理だったとされています。つまり、「機能性成分をできるだけ残したいか」「抗栄養因子をできるだけ減らしたいか」という目的によって、適した調理法が異なる可能性が示唆されているのです。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、カボチャの若葉という特定の食材を対象に、4種類の家庭調理法を比較したものです。得られた結果は、あくまでこの研究における測定・条件下でのものであり、他の野菜や品種、調理条件(加熱時間や温度など)が異なる場合に同じ傾向が得られるとは限りません。また、ここで報告されている抗酸化能や酵素阻害活性はあくまで実験室レベルでの機能性の指標であり、これらの結果が人の健康にどのような影響を与えるかについては、この要旨だけでは判断できません。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点にご留意ください。
まとめ
今回紹介した研究では、カボチャの若葉について、蒸し調理がフェノール類やカロテノイドといった機能性成分の保持に優れ、茹でる調理は抗栄養因子の低減に効果的であったと報告されています。調理法の違いが野菜の栄養的・機能的な質に影響を与えうることを示すものであり、日々の調理法を選ぶ際の一つの参考情報として興味深い内容といえるでしょう。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:家庭調理法がカボチャ(Cucurbita maxima)の葉の栄養、フィトケミカルおよび機能特性に与える影響(モレキュールズ・2026年08月)