著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:Food Chemistry X

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ピスタチオスプレッドは、風味と栄養面で人気のあるナッツ製品です。ただし脂質を多く含むため、保存中に脂質が酸化して品質が落ちやすいという弱点があります。

研究チームは、ピスタチオにカボチャの種子を組み合わせた「ピスタチオ・カボチャ種子混合スプレッド」を開発し、配合を最適化することを目指しました。そのうえで、味や見た目の評価、成分などの物理化学的な性質、食感、酸化に対する安定性を調べています。

配合の決め方と成分の比較

まず、ピスタチオの実を異なる条件で焙煎し、人による官能評価(味や香りなどを実際に評価する試験)で最適な条件を選びました。その結果、110℃で10分間の焙煎が採用されました。基本となるピスタチオスプレッドの配合は、ピスタチオペースト76%、砂糖23.4%、塩0.1%、レシチン(材料を均一に混ぜる働きをする成分)0.5%とされました。

次に、カボチャ種子のペーストをいくつかの割合で置き換えて加えました。官能評価と色の評価から、カボチャ種子ペーストを30%含む配合が最も総合的に好ましいと判断されました。

原料どうしを比べると、カボチャ種子はピスタチオよりタンパク質、灰分(ミネラル分の目安)、水分が多く、ピスタチオは脂肪と炭水化物が多いと報告されています。

保存中の酸化と食感

著者らによると、カボチャ種子ペーストを加えた混合スプレッドは、ピスタチオだけのスプレッドに比べて、保存中の過酸化物(脂質の酸化が始まると生じる物質)の生成が統計的に有意に抑えられ、物理的な安定性も向上しました。抄録では、過酸化物がどの程度減ったかという具体的な数値や、保存の条件・期間は示されていません。

食感の分析では、ピスタチオのみのスプレッドはまとまりやすさ、付着性、硬さが高く、混合スプレッドはガム性(かみ応えに関わる性質)と塗り広げやすさが高い結果でした。保存中はどちらのスプレッドも硬くなり、塗り広げにくくなりましたが、混合スプレッドはピスタチオのみのものより柔らかく、塗りやすい状態を保ちました。

さらに、混合スプレッドで脂質の酸化がどのように進むかを反応速度の観点から解析したところ、酸化は時間に対して一定の速さで進む「0次反応」に従うと報告されました。反応が進むために必要なエネルギーの目安である活性化エネルギーは40.87 kJ/mol、活性化エンタルピーは38.43 kJ/mol、活性化エントロピーは−0.129 kJ/mol·Kと算出されています。

研究が示すこと

研究チームは、カボチャ種子ペーストを加えることで、好ましい風味を保ちながら、ピスタチオスプレッドの栄養面の質、酸化に対する安定性、保存中の品質が改善されたと結論づけています。脂質の酸化が課題となるナッツスプレッドについて、別の種子を組み合わせる配合の工夫が品質の保持に役立ちうることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Arian Nahalkar(Department of Food Nanotechnology, Research Institute of Food Science and Technology (RIFST), Mashhad, Iran)、Mostafa Shahidi-Noghabi(Department of Green Technologies in Food Processing, Research Institute of Food Science and Technology (RIFST), Mashhad, Iran)、Sara Naji-Tabasi(Department of Food Nanotechnology, Research Institute of Food Science and Technology (RIFST), Mashhad, Iran)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Arian Nahalkar, Mostafa Shahidi-Noghabi, Sara Naji-Tabasi. Effect of pumpkin seed addition on sensory, antioxidant, and oxidative kinetic properties of pistachio spread. Food Chemistry X 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.fochx.2026.104561. 原著ライセンス:CC BY.