ポリフェノールは、果物や野菜、お茶、コーヒーなどに含まれる植物由来の成分の総称で、抗酸化作用があることで知られています。近年、こうした食事成分と心の健康との関係に関心が集まっていますが、実際の食生活の中でポリフェノール摂取量と気分やうつ病リスクがどのように関連しているのかは、まだ十分にわかっていません。今回紹介するのは、トルコに住む成人を対象に、食事から摂取するポリフェノールの量と、気分やうつ病リスクとの関連を調べた観察研究です。

研究でわかったこと

この研究は、トルコに住む19〜64歳の成人385人を対象とした横断研究です。研究チームは、食物摂取頻度調査とPhenol-Explorerというデータベース(バージョン3.6)を用いて、一人ひとりのポリフェノール摂取量を推定しました。また、気分の状態はPositive and Negative Affect Scale(ポジティブ・ネガティブ感情尺度)で、うつ病リスクはBECK depression inventory(ベック抑うつ質問票)で評価されています。

その結果、対象者の平均的なポリフェノール摂取量は1日あたり334.14±167.79mgでした。ポリフェノールの中でも、フラボノイドのサブグループとしてはフラボノール(130.26±72.44mg/日)が最も多く、ポリフェノールの主要な分類としてはフェノール酸(116.86±71.19mg/日)が最も多く摂取されていたと報告されています。

うつ病リスクについては、軽度のリスクがあるとされた人が50.1%、中等度が36.4%、重度が13.5%だったとされています。そして、ポリフェノールの平均摂取量、およびすべてのポリフェノールのグループにおいて、摂取量とうつ病リスクのレベルとの間に負の相関が見られたと報告されています。つまり、ポリフェノール摂取量が多い人ほど、うつ病リスクのレベルが低い傾向が見られたということです。

さらにロジスティック回帰分析という統計手法を用いた解析では、アントシアニン、フラボノール、フラバノンという種類のポリフェノールの摂取量が多いことが、うつ病リスクの低下と関連していることが示されたとされています。研究チームは、ブラックベリーやブルーベリー、いちごなどに含まれるアントシアニンやフラボノール、またレモンやオレンジジュースに含まれるフラバノンが豊富な食事が、気分に関連するアウトカムの改善やうつ病リスクの低下と関連している可能性を示唆する結果だとまとめています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、ある一時点での食事摂取状況と気分・うつ病リスクとの関連を調べた横断研究であり、ポリフェノール摂取量とうつ病リスクとの間の因果関係を証明するものではありません。あくまで一つの研究であり、これによって結論が確定したわけではない点には留意が必要です。また、対象はトルコに住む成人385人であり、食事内容の推定には食物摂取頻度調査という自己申告に基づく手法が用いられています。

まとめ

今回紹介した研究では、トルコの成人を対象に、食事から摂取するポリフェノールの量と気分・うつ病リスクとの関連が検討され、ポリフェノール摂取量全体、そしてアントシアニン・フラボノール・フラバノンといった特定の種類の摂取量が多いことが、うつ病リスクの低さと関連していることが示されたと報告されています。ポリフェノールを含む食品を摂ることが特定の病気を予防・改善するとまでは言えませんが、日々の食事と心の健康との関係を考えるうえで、今後さらなる研究が期待されるテーマだといえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:心を養う:トルコ人成人における食事性ポリフェノール摂取量の増加とうつ病リスク低下の関連(ニュートリション・アンド・フード・サイエンス・2026年08月)