著者の所属・活動拠点の国は、パキスタン、ネパールです。
掲載誌:JSFA reports
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食生活や生活習慣は、近代化や工業化の影響を受けて変化し、人々の健康を損なう要因になってきたと著者らは指摘しています。なかでも、血液中のコレステロールが高い状態である高コレステロール血症は、脂肪分の多い食事や揚げ物の摂取、体を動かさない生活によって起こり、心血管疾患の大きな危険因子とされています。生活習慣の改善によって変えられる要因であることも特徴です。また、肥満や糖尿病などの代謝異常と同時にみられることが多いとされています。
この論文は、新たな実験を行った研究ではなく、既存の研究を整理した総説です。研究チームは、大麦がコレステロールを下げる働きと、そのほかの代謝への影響を評価しました。特に注目したのは、大麦に含まれる食物繊維の一種であるβグルカンです。
何を調べたか
著者らは、2015年1月から2025年12月までに発表された文献を、PubMed、Scopus、Google Scholar、ScienceDirectといったオンラインのデータベースから集めました。対象には、実験研究と臨床研究の両方が含まれています。
主な報告結果
論文によると、実験研究と臨床研究から得られた知見は、大麦を食べることで総コレステロール、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、中性脂肪の値が下がりうることを示していました。あわせて、血糖値の管理、腸の働き、体重管理を支える可能性も示されたと報告しています。
これらの作用は、主に大麦のβグルカンによるものと著者らは説明しています。βグルカンは腸の中身の粘り気を高め、コレステロールや脂肪の吸収を減らします。また、肝臓でコレステロールから作られる胆汁酸の排出を増やします。さらに、大腸で腸内細菌によって発酵されて短鎖脂肪酸が作られ、これが肝臓でのコレステロールの代謝に影響するとされています。
βグルカン以外にも、大麦に含まれるフェノール化合物、植物ステロール、トコフェロールやトコトリエノール(ビタミンEの仲間)が、抗酸化作用や脂質を調整する働きに関わっている可能性があると論文は述べています。
この研究が示すこと
著者らは総括として、大麦や大麦由来のβグルカンは、高コレステロール血症やそれに関連する代謝異常の管理に役立つ機能性食品の成分として可能性があると結論づけています。バランスの取れた食事に大麦を取り入れることは、心臓と代謝の健康を改善するための、食品を通じた現実的な方法になりうるというのが、この総説の示す見方です。
著者:Muhammad Usman Khalid(Department of Food Sciences, Faculty of Food Nutrition and Home Sceinces, GIFT University Gujranwala Punjab Pakistan)、Muhammad Tauseef Sultan(Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University Multan Punjab Pakistan)、Sagun Kharel(Department of Nursing Madan Bhandari Academy of Health Sciences Hetauda, Makawanpur Bagamati Province Nepal)、Umrah Zafar(Department of Human Nutrition and Dietetics Muhammad Nawaz Shareef University of Agriculture Multan Pakistan)、Naima Tariq(Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University Multan Punjab Pakistan)、Muhammad Maaz(Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University Multan Punjab Pakistan)、Mutjardah Zarrish(Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University Multan Punjab Pakistan)、Nuzhat Shamim(Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University Multan Punjab Pakistan)、Bipindra Pandey(Department of Pharmacy Madan Bhandari Academy of Health Sciences Hetauda, Makawanpur Bagamati Province Nepal)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muhammad Usman Khalid, Muhammad Tauseef Sultan, Sagun Kharel, et al. Anti‐hypercholesterolemic effects of barley and its role in the management of metabolic disorders: A comprehensive review. JSFA reports 2026-09-16. DOI: 10.1002/jsf2.70097. 原著ライセンス:CC BY.