この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Amerta Nutrition

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

出生時の身長が短いことは、その後の低身長(スタンティング)や長期的な健康問題のリスクを高めると考えられています。著者らは、インドネシアではさまざまな介入が行われてきたにもかかわらず、出生時身長が短い子どもや出生時点でのスタンティングの割合が依然として高い状態にあると指摘しています。

そこで研究チームは、2022年に実施されたインドネシア栄養状態調査(SSGI: Indonesian Nutritional Status Survey)のデータを用いて、出生時身長が短いことに関連する要因を明らかにすることを目的としました。

何を、どのように調べたか

この研究は横断研究、つまりある一時点のデータをまとめて分析する方法で行われました。2022年SSGIのデータのうち、出生時身長の記録がある22万3,741人の子どもが分析対象です。

研究チームは出生時身長が48センチメートル未満を「短い」と定義し、これを説明したい結果(従属変数)としました。そのうえで、子ども自身の特性、母親の特性、世帯の状況、保健サービスの利用状況などを要因の候補として、複雑標本ロジスティック回帰と呼ばれる手法で分析しています。これは全国調査特有の抽出方法を考慮しながら、複数の要因の影響を同時に見比べるための統計手法です。結果は調整オッズ比(AOR)として報告されており、ほかの要因の影響を考慮したうえで、その要因があるとどれだけ確率が高く(または低く)なるかを示す指標です。

報告された主な結果

論文によると、出生時身長が短い子どもの割合は37.2%でした。

最も強い危険因子は早産で、調整オッズ比は1.32(95%信頼区間 1.28〜1.37)と報告されています。次いで、社会経済状況が最も低い層(AOR=1.31、95%CI 1.24〜1.39)が大きな関連を示しました。ほかにも、出生順や出産回数がリスクの高い状態にあること(AOR=1.14)、母親の教育水準が低いこと(AOR=1.12)、世帯の食料確保が不十分であること、改善されていない飲料水源を使っていること、妊婦健診(産前ケア)の受診が6回未満であること(いずれもAOR=1.06)、母親が就労していないこと(AOR=1.05)が、有意な危険因子として挙げられています。

一方、男の子は出生時身長が短くなる確率が低く(AOR=0.73、95%CI 0.71〜0.75)、居住地域(都市か農村かなど)と衛生設備については、有意な関連は認められなかったと報告されています。

この報告が示すもの

著者らは結論として、出生時身長が短いことは早産、母親の特性、低い社会経済状況、食料不安、保健サービスへのアクセスの制限と有意に関連しているとまとめています。そして、こうした要因が妊娠前の段階から積み重なっていることを踏まえ、包括的な介入が必要だと述べています。

なお、この研究は一時点のデータを分析した横断研究であり、報告されている関連は原因と結果の関係を直接示すものではありません。それでも、全国規模の22万人を超えるデータから、出生時の身体の大きさが医学的な要因だけでなく、母親の教育や暮らしの条件、水や食料といった生活基盤とも結びついて現れていることが示された点に、この報告の意味があります。

著者:Suyatno Suyatno(Department of Public Health Nutrition, Faculty of Public Health, Universitas Diponegoro, Semarang)、Lilis Wijayanti(Department of Nutrition Science, Faculty of Medicine, Universitas Diponegoro, Semarang)、Hasna Izdihar Latifah(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Universitas Indonesia, Jakarta)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Suyatno Suyatno, Lilis Wijayanti, Hasna Izdihar Latifah Determinants of Short Birth Length among Children in Indonesia: Findings from the 2022 Indonesian Nutritional Status Survey (SSGI). Amerta Nutrition 2026-09-04. DOI: 10.20473/amnt.v10i3.2026.432-441. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。