この研究は、インドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Genetics and Molecular Research
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
黒小麦は、外皮の部分が濃い色をした有色小麦の一種で、その色はアントシアニンという色素によるものと報告されています。インドでは国立の研究機関で開発された品種が知られており、著者らは、たんぱく質やアミノ酸などの栄養面で注目されるこの黒小麦を、身近な加工食品に利用する方法を検討しました。
研究チームが取り組んだのは、通常の小麦粉の一部を黒小麦粉に置き換えたクッキーです。置き換える割合を段階的に変えて、見た目や形、硬さ、食べたときの好ましさがどう変わるかを調べ、適した配合を選びました。さらに、選んだクッキーを異なる包装材に入れて保存し、品質がどれだけ保たれるかを確かめることを目的としました。
何を調べたか
比較の基準には、インドの一般的な小麦品種「ネトラバティ」の小麦粉だけで作ったクッキーを用いました。これに対し、黒小麦粉の配合割合を変えた5種類のクッキーを作り、すべて同じ手順で生地を練って成形し、170℃のオーブンで15分焼きました。
焼き上がったクッキーについて、色を測る機器で明るさや赤み・黄みを数値化したほか、重さ、直径、厚さ、表面のひび割れの出方を調べました。直径を厚さで割った「広がり比」は、焼くときに生地がどれだけ横に広がったかを示す指標です。硬さは、専用の測定装置で刃を押し当て、割れるまでにかかる最大の力として測りました。
次に、食味の評価で最も好まれた配合のクッキーと基準のクッキーを、低密度ポリエチレン(LDPE)の袋、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器、アルミ箔の袋の3種類に包装し、常温で180日間保存しました。60日ごとに、ある程度訓練を受けた評価者が、色、風味、味、食感、総合的な好ましさを9段階で採点しました。あわせて、一般細菌数とカビ・酵母の数も調べました。
主な結果
黒小麦粉の割合が増えるにつれて、クッキーは暗い色になりました。明るさを表す値は、基準のクッキーの63.54に対し、黒小麦入りでは59.49から52.74へと段階的に下がりました。形については、黒小麦粉が多いほど厚くて小ぶりになり、厚さは1.10cmから1.38cmへ増え、直径は5.77cmから5.33cmへ減りました。重さも増える傾向でした。広がり比は黒小麦粉10%のクッキーで最も高く、割合が増えるにつれて下がりました。
硬さも黒小麦粉の割合とともに高まり、基準のクッキーが7.121kgだったのに対し、黒小麦入りでは8.123kgから12.494kgへ上昇しました。著者らは、たんぱく質や食物繊維の多い黒小麦粉に置き換えたことが影響している可能性を挙げています。食味の評価では、黒小麦粉を30%配合したクッキーがすべての項目で高い点を得ており、このクッキーは表面のひび割れの出方も良好と評価されました。
保存試験では、時間の経過とともにどの包装材でも評価点が下がりましたが、下がり方には差がありました。LDPEの袋では色、風味、味、食感、総合評価の低下が目立った一方、アルミ箔とPET容器では変化が小さく、なかでもアルミ箔で総合評価の低下が最も小さくなりました。著者らは、アルミ箔が湿気を通しにくく、光も遮ることで、湿気の吸収や油脂の劣化が抑えられたためと考えています。また、黒小麦入りクッキーは基準のクッキーよりも風味が保たれやすく、著者らはこれを黒小麦に含まれる抗酸化成分によるものと推測しています。
微生物については、30%配合のクッキーでは60日目まで細菌もカビ・酵母も検出されず、基準のクッキーではこの時点で検出されました。180日目には両方で増加しましたが、黒小麦入りの方が全体として少ない値でした。著者らは、この増加は取り扱いや保存中の汚染による可能性があるとしています。
研究が示すこと
この研究は、黒小麦粉を加えると、クッキーの色や形、硬さが配合割合に応じて変わることを示し、そのなかで30%程度の配合が食べたときの好ましさとのバランスがよかったことを報告しています。著者らは、このクッキーをアルミ箔で包装すれば、常温で180日間、食味と微生物の面で受け入れられる品質を保てると結論づけており、黒小麦を日持ちする加工食品に生かすうえで、配合と包装材の選び方が重要であることを示しています。
著者:Anuprita A Joshi、S.K. SADAWARTE、Preeti Pratapsingh Thakur、Pramodini More(College of Agricultural Engineering , Vasantrao Naik Marathwada Krishi Vidyapeeth , Parbhani- 431401 , Maharashtra , India)、Rajesh B. Kshirsagar、Mansi Sonekar、Shruti Nakhat(College of Food Technology , Vasantrao Naik Marathwada Krishi Vidyapeeth , Parbhani- 431401 , Maharashtra , India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anuprita A Joshi, S.K. SADAWARTE, Preeti Pratapsingh Thakur, Pramodini More, Rajesh B. Kshirsagar, Mansi Sonekar, Shruti Nakhat STORAGE STABILITY OF BLACK WHEAT SUPPLEMENTED FUNCTIONAL COOKIES IN DIFFERENT PACKAGING MATERIALS: A SENSORY, PHYSICAL, COLOUR AND MICROBIAL QUALITY EVALUATION. Genetics and Molecular Research 2026-09-23. DOI: 10.4238/pzfj0h37. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。