この研究は、フランスの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を問題として取り上げたか

各国では1992年以降、「食品ベースの食事ガイドライン」(FBDGs、food-based dietary guidelines)が整備されてきました。これは、栄養素の量を並べるだけでなく、実際に食卓に並ぶ食品を単位として「何をどれだけ食べるとよいか」を示す指針で、消費者や社会全体が健康のために情報にもとづいた食の選択をできるよう助けることを目的としています。

しかし著者らは、世界的に慢性疾患が増え続けている現状を指摘します。そこから、FBDGsが健康を左右するより広い要因に十分に対応できているのか、また持続可能な食料システムの推進に役立っているのか、という疑問が生じると述べています。この論文は、現行のFBDGsに共通する主要な弱点を洗い出し、整理することを目的とした政策・実践レビューです。

レビューが明らかにした主な弱点

著者らはとくに二つの側面に焦点を当てて検討しました。一つは持続可能性、つまり食の選択が環境や食料システムに与える影響という観点です。もう一つは食品加工の問題、すなわち食材がどのように加工されているかという観点です。

レビューの結果として報告されているのは、この二つの側面が現行のFBDGsでは依然として欠けているか、考慮が不十分だという点です。著者らは、そのことが地球規模の健康を守るための確かな推奨を組み立てる妨げになっていると述べています。

著者らが提案する発想の転換

この分析をふまえ、著者らは今後のFBDGsの妥当性と一貫性を高めるために、いくつかの発想の転換(パラダイムシフト)を提案しています。まず、食品の種類を段階的に示す「食品ピラミッド」から、加工技術のあり方に着目した「技術ピラミッド」へ移ること。次に、現在は量の指定や食品グループ分けに偏りすぎている推奨を、より質的で全体を見渡す指針へと移すことです。

さらに、栄養素を切り離して扱うのではなく、食品マトリックス(食品の中で成分が組み合わさって構成されている全体の構造)の役割を重視すること、そして持続可能性や環境の再生をめざす農業のやり方をより明確に組み込むことを挙げています。

この検討が示すこと

著者らが最大の課題として位置づけるのは、システム全体を見る全体論的なアプローチをとるFBDGsを設計することです。それは、人間の健康、環境、社会の幸福が互いにつながっていることを反映し、大きな食事パターンから個々の栄養素へと栄養情報を順序立てて階層的に整理するような指針だと説明されています。

この論文が伝えているのは、食事の指針を「何をどれだけ」という量の一覧としてだけ考えるのでは足りないのではないか、という問いかけです。健康と環境と社会を切り離さずに扱う枠組みへと、指針そのものの組み立て方を見直す必要があるという視点が示されています。

著者:Anthony Fardet(INRA, UMR 1019, UNH, CRNH Auvergne, F-63000 Clermont-Ferrand & Clermont Auvergne Université, Université d'Auvergne, Unité de Nutrition Humaine)、Marlene Ohlau(TMG—Töpfer, Müller, Gaßner GmbH, EUREF-Campus)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anthony Fardet, Marlene Ohlau. Shortcomings of food-based dietary guidelines worldwide: a focus on sustainability and food processing issues. Frontiers in Nutrition 2026-09-18. DOI: 10.3389/fnut.2026.1901940. 原著ライセンス:CC BY.