著者の所属・活動拠点の国は、マレーシア、イギリスです。

掲載誌:Bangladesh Journal of Medical Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

カロリーとナトリウムはどちらも体に欠かせませんが、摂りすぎると体重増加や高血圧などの健康問題につながるとされています。著者らは、加工食品や外食のようにカロリーの高い食品にはナトリウムも多く含まれやすいことに注目しました。そのうえで、両者の関係を統計モデルで捉えることが栄養研究や健康づくりの基礎になると考えました。

この研究の目的は、1日のナトリウム摂取量から1日のカロリー摂取量を予測するモデルを作り、その予測精度を高めることです。研究チームは特に、データが統計解析で一般的に想定される形にあてはまらない場合でも使える手法に焦点を当てました。

どのように調べたか

研究チームは、マレーシア科学大学病院の栄養指導外来で得られた既存データを用いました。対象は45人で、1日あたりのカロリー摂取量(kcal)とナトリウム摂取量(mg)の記録を分析しています。

よく使われる直線回帰(2つの量の関係を1本の直線で表す方法)は、データのばらつきが「正規分布」と呼ばれる釣り鐘型に従うことなどを前提にしています。著者らがこの前提を確認したところ、満たされていないと判断されました。そこで研究チームは、関係の形をあらかじめ決めずにデータから柔軟に読み取る「ノンパラメトリック回帰」を採用しました。直線の傾きの推定には、極端な値の影響を受けにくい手法(ケンドール・タイル・セン・シーゲル推定量)を用いています。

さらに、データから重複を許して何度も標本を取り直し、推定のばらつきを確かめる「ブートストラップ法」を組み合わせました。データは、モデルづくりに使う「訓練用」と、作ったモデルの当てはまりを確かめる「検証用」に分けて扱われました。解析には統計ソフトのRが使われています。

主な結果

得られたモデルは「カロリー=−182.2940+1.8361×s(ナトリウム)」という式で表されました。s(ナトリウム)は、ナトリウムの値をなめらかな曲線として扱うための関数です。著者らによると、正の係数1.8361は、平滑化したナトリウムの値が1単位増えるごとに、モデルが予測するカロリーが平均して1.8361単位増えることを示します。つまり、ナトリウム摂取量が多いほどカロリー摂取量も多いという関連がみられました。なお、切片の−182.2940はナトリウムがゼロのときの推定値ですが、著者らはこの値の実際的な解釈には限りがあるとしています。

モデルの当てはまりを示す決定係数(R²、1に近いほどデータの変動をよく説明できる指標)は、訓練用データで74.2%、検証用データで70.0%でした。著者らは、この結果からモデルが両方のデータでよく機能していると報告しています。また、データが正規分布の前提を満たさない場合には、ノンパラメトリック回帰の予測性能が高まったとしています。

この研究が示すこと

この研究は、実際の栄養データが理想的な分布に従わない場合でも、ノンパラメトリック回帰とブートストラップ法、訓練・検証データの分割を組み合わせることで、ナトリウムとカロリーの関係をモデル化できることを示した事例です。

ただし、著者ら自身が述べているとおり、示されたのは統計的な関連です。ナトリウムがカロリー摂取を増やすという因果関係を確かめたものではありません。モデルの信頼性は、平滑化の手法が適切かどうかや、データが実際の関係をどれだけ代表しているかにも左右されるとされています。

原著論文の著者・所属:Wan Muhamad Amir W Ahmad(Universiti Sains Malaysia (USM), 16150 Kubang Kerian, Kota Bharu, Kelantan, Malaysia)、Hazik Bin Shahzad(University of Oxford, Headington, Oxford, OX3 9DU, United Kingdom)、Farah Muna Mohamad Ghazali(Universiti Malaysia Terengganu (UMT), 21030 Kuala Nerus, Terengganu)、Mohamad Nasarudin Adnan(Universiti Sains Malaysia (USM), 16150 Kubang Kerian, Kota Bharu, Kelantan, Malaysia)、Nor Azlida Aleng(Universiti Sultan Zainal Abidin (UniSZA), Medical Campus, Jalan Sultan Mahmud, 20400 Kuala Terengganu, Terengganu, Malaysia)、Nor Farid Mohd Noor(Universiti Sultan Zainal Abidin (UniSZA), Medical Campus, Jalan Sultan Mahmud, 20400 Kuala Terengganu, Terengganu, Malaysia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wan Muhamad Amir W Ahmad, Hazik Bin Shahzad, Farah Muna Mohamad Ghazali, et al. Developing a novel sodium-based calorie model with non-parametric regression: A case study with non-normally distributed data. Bangladesh Journal of Medical Science 2026-10-02. DOI: 10.3329/bjms.v25i4.93776. 原著ライセンス:CC BY.