著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。
掲載誌:Revista Española de Nutrición Humana y Dietética
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
妊娠中の食事は、胎児の成長や母体の変化を支える重要な要素です。地中海食は、調理やサラダにエキストラバージンオリーブオイルを使い、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツを毎日とり、魚介類、卵、チーズ、ヨーグルト、脂肪の少ない鶏肉を適度に食べる食事パターンです。著者らによれば、妊娠中にこの食事を実践すると母子の健康に利点があると知られている一方、実際に十分実践している妊婦は少ないと報告されてきました。
健康的な食事を続けるには、栄養の知識だけでなく、情報を正しく読み取り日常に生かす力も必要です。インターネットなどで食や栄養の情報を得る機会が増えたことから、著者らは「電子的健康食リテラシー」に注目しました。これは、デジタル上の栄養情報を探し、理解し、信頼できるかを見極め、実際の食生活に生かす力を指します。研究チームは、妊婦においてこの力と地中海食の実践度がどのように関連しているかを調べることを目的としました。
調べた方法
研究はトルコのニーデ県に住む妊婦400人を対象に、2025年1月から5月にかけて行われました。対象は19〜45歳でインターネットを利用できる妊婦で、栄養状態に影響しうる重い慢性疾患がある人や、医師・栄養士の指導による特別な食事療法を受けている人は除かれました。ある時点での状態を一度に調べる「横断研究」と呼ばれる方法です。
地中海食の実践度は、オリーブオイルの使用や果物・野菜などの摂取に関する14項目の質問票で評価し、各項目0点か1点で合計しました。7点未満を「実践度が低い」、7点以上を「高い」と分類しています。電子的健康食リテラシーは15項目の尺度で測定し、合計点は15〜71点で、高いほど力が高いことを示します。この尺度は、情報へのアクセス、情報の評価、信頼性の認識、交流・共有、実践への応用という五つの側面から成ります。身長と体重は研究者が測定し、妊娠前の体重は本人の申告によるものです。年齢、学歴、収入、妊娠時期、妊娠前の体格指数(BMI)といった他の要因の影響も考慮して分析が行われました。
主な結果
地中海食の実践度の平均は14点満点中4.8点で、参加者の88.0%が「実践度が低い」に分類されました。電子的健康食リテラシーの平均は35.7点でした。
地中海食の実践度が高い人ほど、電子的健康食リテラシーの合計点も高い傾向がみられました(相関係数0.259)。五つの側面のうち、地中海食の実践度と関連がみられたのは「情報の評価」と「実践への応用」で、情報へのアクセスや交流・共有などの側面には有意な関連はみられませんでした。
年齢、収入、妊娠時期、妊娠前のBMIなどを考慮したうえでも、電子的健康食リテラシーと学歴はそれぞれ独立して地中海食の実践度と関連していました。このほか、収入が低い妊婦では電子的健康食リテラシーの点数が中・高収入の妊婦より低かったこと、妊娠前に過体重だった妊婦は標準体重の妊婦より地中海食の実践度が高かったことも報告されています。
この研究が示すこと
この研究からは、調査対象の妊婦の多くで地中海食の実践度が低く、デジタル上の食情報を評価し、生活に生かす力が高い人ほど地中海食をよく実践しているという関連が示されました。著者らは、ネット上の情報に触れるだけでなく、それを見極めて応用する力が妊娠中の食行動に関わっている可能性を指摘しています。
ただし、この研究は一時点の調査であり、リテラシーが高いから食事が良くなるのか、その逆なのかといった因果関係や方向は分かりません。食事の評価は質問票による自己申告で、調査も一地域に限られています。こうした範囲の中で、妊娠中の食生活を考えるうえで、情報を使いこなす力という視点が関わりうることを示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Ceren Şarahman Kahraman(Department of Nutrition and Dietetics, University of Alanya Alaaddin Keykubat, Kestel District, University Street, No:80, Alanya/Antalya 07425, Turkey)、Cansu Memiç İnan(Department of Nutrition and Dietetics, University of Hitit, Gazi Street, No:86, Çorum 019200, Turkey)、Kamile Ercan(Department of Nutrition and Dietetics, University of Alanya Alaaddin Keykubat, Kestel District, University Street, No:80, Alanya/Antalya 07425, Turkey)、Meltem Soylu(Department of Nutrition and Dietetics, University of Alanya Alaaddin Keykubat, Kestel District, University Street, No:80, Alanya/Antalya 07425, Turkey)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ceren Şarahman Kahraman, Cansu Memiç İnan, Kamile Ercan, Meltem Soylu Association between adherence to the Mediterranean diet and e-healthy diet literacy among pregnant women. Revista Española de Nutrición Humana y Dietética 2026-10-20. DOI: 10.14306/renhyd.31.1.2896. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。