この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Tarım Bilimleri Dergisi

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

赤いパプリカ型のトウガラシ(Capsicum annuum L.)は世界中で広く栽培され、生のまま食べられることも多い野菜です。ビタミンCやフェノール化合物を豊富に含む一方で、呼吸が盛んで水分を失いやすく、収穫後に傷みやすいという弱点があります。そのため、化学的な保存料に代わる安全で持続可能な保存方法が求められています。

こうした背景から注目されているのが、食品に使っても安全とされる微生物を利用する「バイオ保存」です。中でも乳酸菌の一種であるラクトバチルス・プランタルムは、ほかの微生物の増殖を抑える物質をつくることが知られ、イチゴやトマトなどで品質保持の効果が報告されてきました。しかし、ピーマン類を対象にした体系的な評価は少ないとされます。著者は、この乳酸菌の処理が赤ピーマンの収穫後の品質にどう影響するかを、物理的・化学的・微生物学的な面から調べることを目的としました。

どのように調べたか

研究では、トルコの畑で栽培された品種「カピヤ」の赤ピーマンを使いました。果実を、乳酸菌を1ミリリットルあたり100万個(10の6乗)含む液(LP1)、1億個(10の8乗)含む液(LP2)、または殺菌した水(対照)にそれぞれ2分間浸しました。

処理後の果実は通気性のあるポリエチレン袋に入れ、8℃前後、湿度90〜95%の冷蔵室で21日間保存しました。保存開始時と7日、14日、21日目に、重さの減り方、果肉の硬さ(押し込むのに必要な力をニュートンで表したもの)、色の明るさや鮮やかさ、色合いを測定しました。さらに、ビタミンC(アスコルビン酸)、フェノール化合物の総量、糖度、酸度、pH、果実に付いている一般的な細菌やカビ・酵母の数も調べました。

主な結果

保存が進むにつれてどの果実も重さが減りましたが、その程度には差が出ました。21日目の重量減少は、対照で15.6%だったのに対し、LP1では10.5%、LP2では7.2%にとどまりました。硬さも、保存開始時は約15ニュートンでしたが、21日目には対照が7.5ニュートンまで軟らかくなったのに対し、LP1は9.2ニュートン、LP2は11.0ニュートンを保っていました。色についても、乳酸菌で処理した果実、特にLP2のほうが、明るさや鮮やかさ、色合いの値が高く保たれていました。

成分面でも同様の傾向が報告されています。果実100グラムあたりのビタミンCは、保存開始時の約102ミリグラムから、21日目には対照で60ミリグラムまで減りましたが、LP1は70ミリグラム、LP2は76ミリグラムを維持しました。フェノール化合物の総量(没食子酸という物質に換算した値)も、21日目に対照が68ミリグラムまで下がったのに対し、LP1は76ミリグラム、LP2は83ミリグラムでした。糖度、酸度、pHの変化も、処理した果実のほうが穏やかだったとされています。

著者らはこれらの結果から、ラクトバチルス・プランタルム、とりわけ濃度の高い処理が、保存中のピーマンの物理的・化学的・微生物学的な品質を保つのに効果的だったと結論づけています。

この研究が示すこと

この研究は、これまで主にほかの果物や野菜で調べられてきた乳酸菌による品質保持の効果を、赤ピーマンについて多くの指標から確かめたものです。冷蔵保存の条件下で、乳酸菌の液に短時間浸すだけで、重さや硬さ、色、ビタミンCなどの低下がゆるやかになり、濃度が高いほどその傾向が強かったことが報告されました。著者は、この方法が化学的な保存料に代わる持続可能な選択肢になりうると位置づけています。

著者:Çağlar Kaya(ÇANAKKALE ONSEKİZ MART ÜNİVERSİTESİ)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Çağlar Kaya. Lactobacillus plantarum-Based Sustainable Biopreservation for Maintaining Postharvest Quality and Microbial Safety of Red Pepper (Capsicum annuum L.). Tarım Bilimleri Dergisi 2026-10-12. DOI: 10.15832/ankutbd.1871456. 原著ライセンス:CC BY.