日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Plant Production Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、非常に小さな気泡「ウルトラファインバブル(UFB)」を含む水が、イネの種子の発芽にどう影響するかを調べました。UFB水は薬剤を使わない種子処理法として注目されていますが、特に乾燥ストレス下での発芽への影響は明らかになっていませんでした。
何を、どのように調べたか
対象は、もみ殻を取り除いた玄米ともみ殻付きの種子です。UFB水と蒸留水を使い、水に浸し続ける方法と、発芽前にあらかじめ吸水させる「プライミング」を行う方法を調べました。プライミング後は、種子が水を吸いにくくなるようポリエチレングリコール(PEG)で浸透圧を調整し、乾燥ストレスを模した条件で発芽を比較しました。発芽の速さや最終的な発芽率に加え、吸水の様子、もみ殻の厚さ、溶液中と種子表面の活性酸素の量も調べました。
主な報告結果
水に浸し続けた場合、発芽の進み方は玄米ともみで異なりましたが、それぞれでUFB水と蒸留水の間に有意な差は認められませんでした。一方、プライミングは処理をしない場合より発芽を大きく早め、種子の半数が発芽するまでの時間の短縮は、玄米よりもみで大きくなりました。プライミングに使う水を比べると、玄米ではUFB水が蒸留水より発芽を促しましたが、もみでの効果は限定的で、ストレスの強さによって異なりました。乾燥ストレスを模した条件では、PEG濃度が高いほど発芽が遅くなったものの、最終的な発芽率はすべての処理で80%以上でした。また、UFB水によるプライミングでは、玄米の吸水が抑えられた一方、もみでは処理後半の吸水が促され、もみ殻が薄くなりました。活性酸素の量の変化も、玄米ともみで異なりました。
この報告が示すこと
著者らは、UFB水が種子の構造、吸水の仕方、酸化に関わる過程との相互作用を通じて発芽に影響すると結論づけ、乾燥条件下での発芽を改善する持続可能な種子処理法としての可能性を示しています。ただし、その効果は一様ではなく、もみ殻の有無や処理方法、ストレスの強さによって異なる報告です。
原著論文の著者・所属:Thuy Linh Ha(The University of Tokyo)、Masatoshi Yoshimura(The University of Tokyo)、Itaru Sotome(The University of Tokyo)、Naohiro Aoki(The University of Tokyo)、Ryutaro Morita(The University of Tokyo)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Thuy Linh Ha, Masatoshi Yoshimura, Itaru Sotome, et al. Effect of ultrafine bubble water on germination of brown and unhulled rice seeds under soaking and priming conditions. Plant Production Science 2026-11-03. DOI: 10.1080/1343943x.2026.2743348. 原著ライセンス:CC BY.