この研究は、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

魚を蒸すとき、どのくらいの温度でどれだけの時間加熱するかは、仕上がりの食感や香り、うま味に関わる要素です。この研究の著者らは、スズキ(perch)を対象に、蒸し調理の工程パラメータを最適化し、風味の質を高めることを目的としました。

そのために研究チームは、加熱温度を途中で切り替える「二段階蒸し」と、二段階蒸しの後に保温して余熱で仕上げる「余熱蒸し」を、温度を一定に保つ従来型の「一段階蒸し」と系統的に比較しました。二段階蒸しには、低温から高温へ移す方式と、高温から低温へ移す方式の二通りが検討されています。

報告された主な結果

論文によれば、二段階蒸し、とくに80℃から100℃へ切り替える方式では、食感とうま味に関わる測定項目において、処理による有意な差が認められました。また、香りのもとになる揮発性成分のいくつかについても処理による有意な差(p<0.05)が示され、これらの成分は余熱蒸しの条件で測定濃度がより高くなったと報告されています。

二つの二段階蒸し方式(80℃→100℃と100℃→80℃)を比べたところ、魚の中心温度が主たる加熱段階を高温側で経過した場合に、スズキの総合的な品質がより良好であったとされています。

さらに著者らは、食感・味・香りの特性をまとめて扱う主成分分析(PCA、多くの測定項目の情報を少数の指標に集約して全体像を見る統計手法)による総合評価を行いました。その結果、100℃(55)-80℃(75)の二段階蒸しに余熱を加えた条件が最も高い記述的スコア(0.52)を得ています。ただし論文は、この順位づけは統計的な有意性を検定したものではない、と明記しています。

この研究が示すこと

加熱を一定温度で通すのではなく、温度の高低を段階的に組み合わせ、さらに余熱を使うという工程の組み方が、蒸し魚の食感や香り、うま味の測定値に違いをもたらしうることを、著者らは実験室規模のデータとして示しました。

著者ら自身は、これらの知見をスズキの蒸し条件をさらに最適化するための基礎と位置づけており、実際の利用に移す前にはより大きな規模での検証が必要だと述べています。日常的な調理の手順が、測定できる品質の指標として捉えられることを示した研究といえます。

著者:Yaling Yang(Laboratory of Molecular Sensory Science, School of Food and Health, Beijing Technology and Business University (BTBU), Beijing 100048, China)、Lijin Wang(Laboratory of Molecular Sensory Science, School of Food and Health, Beijing Technology and Business University (BTBU), Beijing 100048, China)、Feng Zhu(Qingdao Haier Smart Technology R&D Co., Ltd., Qingdao 266100, China)、Huanlu Song(Laboratory of Molecular Sensory Science, School of Food and Health, Beijing Technology and Business University (BTBU), Beijing 100048, China)、Yanbo Wang(Laboratory of Molecular Sensory Science, School of Food and Health, Beijing Technology and Business University (BTBU), Beijing 100048, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yaling Yang, Lijin Wang, Feng Zhu, et al. Effect of Time–Temperature Modulation Combined with Residual Heating on Flavor and Texture Attributes of Steamed Perch Fish. Foods 2026-09-16. DOI: 10.3390/foods15183264. 原著ライセンス:CC BY.