お米は炊く前に研いだり、時には浸水させたりと、下ごしらえの過程がある食品です。こうした調理の工程が、もし米に残っている農薬の量を減らす効果を持っているとしたら――そんな視点から行われた研究が、学術誌「フード・アディティブス・アンド・コンタミナンツ パートA」に2026年07月に掲載予定です。農業や家庭での農薬使用が広がる中、食品中に残る農薬をどう減らすかは、食の安全を考えるうえで関心が持たれているテーマです。今回の研究では、長粒種・玄米・バスマティ米という3種類の米を対象に、洗浄や調理の方法によって農薬の残留量がどう変化するのかが調べられました。
どんな方法で調べたのか
研究チームは、長粒種・玄米・バスマティの米サンプルに、あらかじめ121種類の農薬を意図的に添加しました。添加した濃度は20µg/kgと50µg/kgの2段階です。そのうえで、洗浄の有無や、通常の炊飯・蒸し調理といった異なる処理方法を組み合わせ、それぞれの条件で農薬がどれだけ減るかを比較しました。農薬の抽出にはQuEChERSという分析手法が用いられ、その後、高性能液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析計を組み合わせた装置(HPLC-MS/MS)で残留量が測定されています。
わかったこと
結果として、農薬残留の減少幅は米の種類や処理方法によって差があったと報告されています。最も減少幅が大きかったのは長粒種の米で、酢を使った洗浄と通常の調理を組み合わせた場合には、最大で85%の農薬残留が減少したとされています。一方、玄米やバスマティ米など他の種類の米では、処理方法によって50%から70%程度の減少にとどまったとのことです。研究チームは、洗浄と加熱調理を組み合わせることが、食品の安全性を高めるうえで特に効果的だったとまとめています。
この研究を読むうえでの注意
この研究は、意図的に農薬を添加したサンプルを用いた実験室的な条件下での評価です。実際に市場に流通している米に、どの農薬がどの程度含まれているかは商品や産地によって異なりますし、家庭での調理条件も一様ではありません。また、これは一つの研究で得られた結果であり、これをもって調理法による農薬低減効果が確定したというわけではない点にも留意が必要です。
まとめ
今回紹介した研究では、長粒種・玄米・バスマティ米に対して洗浄と調理を組み合わせることで、農薬残留量を一定程度減らせる可能性が示唆されています。特に長粒種では酢洗浄と通常調理の組み合わせで大きな減少幅が報告されていますが、米の種類によって効果には差があるようです。日々の食事における米の扱い方を考えるうえで、一つの参考情報として捉えるとよいでしょう。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:米の残留農薬の低減:調理法が長粒種・玄米・バスマティ品種に与える影響(フード・アディティブス・アンド・コンタミナンツ パートA・2026年07月)