ココナッツミルクを作る過程では、しぼった後の果肉が大量に残ります。この残渣は、多くの場合廃棄されてしまう副産物ですが、乾燥させて粉状に加工すれば「ココナッツフラワー」として食品に活用できる可能性があります。今回紹介する研究は、このココナッツフラワーを魚肉ソーセージ(ティラピアを使用)に加える機能性素材として使えないかを調べたものです。魚肉ソーセージに植物由来の粉を加えることで、食感や風味、栄養面にどのような変化が生じるのかが焦点になっています。
研究でわかったこと
研究ではまず、ココナッツミルクの製造で生じる果肉残渣を、天日干し・凍結乾燥・オーブン乾燥・真空乾燥という4つの異なる方法で乾燥させ、それぞれ異なるココナッツフラワーを作りました。これらについて、成分組成や機能的特性、官能(味や食感などの評価)特性が比較されました。
その結果、官能面での評価をもとに、オーブン乾燥で作られたココナッツフラワーが選ばれ、これを実際にティラピアの魚肉ソーセージに配合する実験が行われました。比較対象として、市販のココナッツフラワーを使ったソーセージ、そしてコーンフラワー(トウモロコシ粉)を使ったソーセージも用意されています。
タンパク質含量を比べると、市販ココナッツフラワーを使ったソーセージが21.33%、オーブン乾燥ココナッツフラワーを使ったソーセージが11.94%、コーンフラワーを使ったソーセージが12.66%という結果でした。食感については、付着性を除く多くの項目で、コーンフラワーを加えたソーセージのほうがココナッツフラワーを加えたソーセージより有意に高い値を示したと報告されています。一方、官能評価(食べたときの好ましさ)では、市販ココナッツフラワーを使ったソーセージが有意に高く評価され、「非常に好き~極めて好き」に相当するスコア(8.35)が得られたとされています。
これらの結果から、研究では「市販のココナッツフラワーを魚肉ソーセージに加えることで、食感特性に大きな影響を与えることなく、タンパク質含量を(乾物換算で50%以上)高め、食物繊維のような機能性成分も加えられる」と結論づけられています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、廃棄されがちなココナッツ果肉残渣を粉に加工し、食品素材として活用する可能性を検討した一つの研究です。ここで示された数値や評価は、今回使用された特定の原料・製法・配合条件のもとで得られたものであり、他の条件でも同様の結果になるとは限りません。また、官能評価はあくまで研究内でのパネルによる評価であり、一般的な嗜好を保証するものではない点にも留意が必要です。健康への効果を断定するものではなく、あくまで食品加工・食感・栄養成分に関する基礎的な知見として紹介されています。
まとめ
ココナッツミルク製造の副産物を乾燥・粉末化してココナッツフラワーとし、魚肉ソーセージに配合するというこの研究は、食品副産物の新たな活用法を探る興味深い試みといえます。市販のココナッツフラワーを使うことでタンパク質含量が高まり、食感を大きく損なわずに機能性成分を加えられる可能性が示唆されていますが、これは一つの研究結果であり、今後さらなる検証が期待される段階です。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ティラピア魚肉ソーセージにおける新規機能性素材としてのココナッツフラワー:食感と官能特性への影響(フード・セーフティ・アンド・ヘルス・2025年07月)