著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Food Research International

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜコーヒーの種の見分けが必要なのか

コーヒーは世界で広く飲まれ、国際的な農産物取引でも大きな位置を占めています。論文の抄録によると、現在ブラジルは世界最大のコーヒー生産国・輸出国です。国際市場で主に流通している種は、アラビカ種(Coffea arabica)とカネフォラ種(Coffea canephora)の二つです。

アラビカ種は、香味がより複雑で、一般に苦みが少なく感じられることから、スペシャルティコーヒー市場で高く評価されています。著者らは、この商業価値の差が、より安価なカネフォラ種をアラビカ種に混ぜる偽装を招きやすい状況を生んでいると指摘しています。

ブラジルの連邦法は、焙煎・粉砕されたコーヒー製品について、使われている種の表示と確認を求めています。しかし著者らによれば、規制当局やコーヒー業界には、この要件を確かめるための公式に検証された分析法がまだありません。また、従来の顕微鏡による方法は、焙煎・粉砕したコーヒーが不均一であるため、試料全体を代表する部分を採取しにくいという課題を抱えています。

研究チームが開発した方法

研究チームは、焙煎・粉砕したアラビカコーヒーへのカネフォラ種の混入を、焙煎度合いの異なる条件で検出する分析法を開発し、その検証を行いました。目指したのは、迅速・簡便で、頑健な(安定した結果が得られる)方法です。

手法の中心は、近赤外ハイパースペクトルイメージングとケモメトリクスの組み合わせです。近赤外ハイパースペクトルイメージングは、画像の各点について、目に見えない近赤外の光の吸収や反射の様子を多くの波長で記録する技術で、物質の性質の違いを画像上の位置と結び付けて捉えられます。ケモメトリクスは、こうした化学的な測定データを統計・数学的な手法で解析し、試料の判別などに役立てる方法です。

報告された主な結果

抄録によると、この方法では、重量比で5%を超えるカネフォラ種の混入の検出について、正解率98%、特異度99%、感度93%が得られました。感度は混入のある試料を正しく「混入あり」と判定できた割合、特異度は混入のない試料を正しく「混入なし」と判定できた割合を表します。

著者らは、この結果から、提案法は日常的な検査や規制のためのスクリーニング(ふるい分け)に適していると述べています。さらに、ハイパースペクトルイメージングでは疑わしい粒子の位置を特定できるため、その粒子に絞って確認のための分析を行えるという利点も挙げています。

この研究が示すこと

この研究は、光の測定とデータ解析を組み合わせることで、焙煎・粉砕されたアラビカコーヒーへのカネフォラ種の混入を迅速に検出し、疑わしい粒子の位置も示せることを報告しています。著者らは、この方法を焙煎・粉砕コーヒーの種を確かめるための実用的で信頼できる手段として位置付けています。

原著論文の著者・所属:Sandro Keiichi Otani(University of São Paulo (USP), São Carlos Institute of Chemistry (IQSC), São Carlos, SP 13566-590, Brazil)、Renato Lajarim Carneiro(Federal University of São Carlos (UFSCar), Department of Chemistry, São Carlos, São Paulo 13565, Brazil)、Stanislau Bogusz(University of São Paulo (USP), São Carlos Institute of Chemistry (IQSC), São Carlos, SP 13566-590, Brazil. Electronic address: [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sandro Keiichi Otani, Renato Lajarim Carneiro, Stanislau Bogusz. Straightforward and rapid detection of C. canephora adulteration in roasted and ground Coffea arabica by near-infrared hyperspectral imaging and chemometrics. Food Research International 2026-09-09. DOI: 10.1016/j.foodres.2026.120763. 原著ライセンス:CC BY.