この研究は、オランダ、オーストラリア、ブラジルの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Current Developments in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

すでに心臓や血管の病気を経験した人にとって、超加工食品を多く食べる食生活が死亡リスクにどう関わるのかは、はっきりしていませんでした。超加工食品とは、工業的な加工を重ねてつくられた食品を指す分類で、この研究では食品を加工の程度で分けるNova分類という仕組みにもとづいて特定されています。

研究チームは、心筋梗塞を起こしたあとの患者を対象に、超加工食品の多い食事がどのような食事の質を伴うのかを調べ、さらに心血管疾患全体による死亡、虚血性心疾患による死亡、脳卒中による死亡のリスクと関連するかどうかを検討しました。

調べ方

著者らは、オランダで実施されたAlpha Omega Cohortに参加した心筋梗塞後の患者4,365人のデータを解析しました。参加者のうち79%は男性です。

食事の内容は、研究開始時点で203項目からなる食物摂取頻度調査票を用いて集められました。食事の質は、心血管疾患の患者向けに調整されたオランダ版の健康的食事指標(DHD-CVD、0〜160点の範囲)で評価されています。そのうえで、1日の食事量に占める超加工食品の重量割合によって参加者を4つのグループに分け、最も低いグループ(Q1)を超加工食品の少ない食事、最も高いグループ(Q4)を超加工食品の多い食事として比較しました。死亡リスクの比較には、他の要因の影響を調整できる多変量Cox回帰モデルが使われています。

報告された主な結果

超加工食品が食事に占める割合は平均で1日あたり18%(重量比)で、Q1では9%、Q4では29%でした。Q1と比べてQ4の患者は、総エネルギー摂取量が多く、果物と野菜の摂取量が少なかったと報告されています。食事の質を示すDHD-CVDの得点は、グループが上がるにつれてわずかに下がり、Q1では95点、Q4では82点でした。

追跡期間の中央値は14年で、この間に1,012人が心血管疾患で亡くなり、そのうち659人は虚血性心疾患、208人は脳卒中によるものでした。Q1との比較では、超加工食品の多い食事は心血管疾患全体の死亡および虚血性心疾患の死亡と一貫した有意な関連を示しませんでした。一方で、脳卒中による死亡については、より高いリスクとの関連がみられ、超加工食品の割合が10パーセントポイント増えるごとのハザード比は1.21(95%信頼区間 1.02〜1.42)と報告されています。この関連は、高齢の患者、女性、BMIが高い人、身体活動量が少ない人、社会経済的な状況が低い人でより強く、感度分析でも頑健だったとされています。

この研究が示すこと

著者らは、心筋梗塞後の患者において、超加工食品の多い食事は、果物や野菜のような心臓を守る働きが期待される食品が少ない食事でもあったと結論づけています。そして、過去に心筋梗塞を経験した患者のなかで、超加工食品の多い食事が脳卒中死亡リスクと好ましくない形で関連していた点を、この研究の要点として挙げています。

この結果は、観察研究にもとづく関連の報告であり、超加工食品が脳卒中死亡を引き起こすと証明したものではありません。それでも、心筋梗塞を経験した人の食生活を考えるうえで、超加工食品の占める割合という視点が注目に値することを示しています。

著者:Maria G. Jacobo Cejudo(Division of Human Nutrition and Health, Wageningen University, Wageningen, The Netherlands)、Daisy Hannah Coyle(Food Policy Division, The George Institute for Global Health, Sydney, Australia)、Iris van Damme(Division of Human Nutrition and Health, Wageningen University, Wageningen, The Netherlands)、Esther Cruijsen(Division of Human Nutrition and Health, Wageningen University, Wageningen, The Netherlands)、Johanna Marianne Geleijnse(Division of Human Nutrition and Health, Wageningen University, Wageningen, The Netherlands)、Neha Khandpur(Center for Epidemiological Research in Health and Nutrition, University of São Paulo, São Paulo, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Maria G. Jacobo Cejudo, Daisy Hannah Coyle, Iris van Damme, et al. Ultra-processed Food Intake and Long-Term Risk of Cardiovascular Disease Mortality among Patients with Myocardial Infarction: A Prospective Analysis of the Alpha Omega Cohort. Current Developments in Nutrition 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.cdnut.2026.109527. 原著ライセンス:CC BY.