この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Arsip Keilmuan Gizi (AKG)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとした研究か
インドネシアで進められている無償栄養給食プログラム(Makan Bergizi Gratis、略してMBG)は、提供された食事が子どもたちに実際に受け入れられ、食べられて初めて意味を持ちます。著者らはこの点に着目し、給食が「出された」だけでなく「受け入れられた」かどうかを、献立の構成要素ごとに確かめようとしました。
研究チームが調べたのは、生徒の食習慣、家庭の収入、栄養に関する知識、そして教師の関わりという四つの要因が、主食・動物性のおかず・植物性のおかず・野菜・果物という五つのメニュー要素それぞれの受け入れられやすさと、どう関係しているかという点です。
どのように調べたか
対象となったのは、北ジャカルタのタンジュン・プリオク地区にある中学校の生徒73人です。2025年7月、献立が一巡する11日間にわたって観察が行われました。研究の設計は横断研究、つまりある時期の状態をまとめて捉えるやり方で、時間の前後関係から原因と結果を突き止める種類のものではありません。
受け入れの度合いは、5段階の嗜好尺度(ヘドニック尺度)で測られました。これは「とても好き」から「とても嫌い」までのように、好みの強さを段階で答えてもらう方法です。得られた要素ごとの受け入れ得点と各要因との関係は、スピアマンの順位相関という統計手法で分析されています。これは二つの事柄が一緒に増減する傾向の強さを表すもので、値がプラスであれば「一方が高いほどもう一方も高い」という関係を示します。
報告された主な結果
受け入れが高かった生徒の割合が最も大きかったのは動物性のおかずで68.5%、次いで果物が67.1%でした。対照的に、野菜は13.7%と最も低い割合にとどまったと報告されています。同じ給食でも、要素によって受け止められ方が大きく異なっていたことになります。
食習慣は、動物性のおかず(r=0.250、p=0.033)、植物性のおかず(r=0.262、p=0.025)、野菜(r=0.274、p=0.019)、果物(r=0.294、p=0.012)の受け入れと関連していましたが、主食とは関連が見られませんでした(p=0.156)。家庭の収入は、主食(r=0.446、p<0.001)、動物性のおかず(r=0.344、p=0.003)、果物(r=0.306、p=0.008)と関連していました。一方、栄養知識と教師の関わりは、いずれの要素とも関連が認められませんでした(p>0.05)。なお、ここで示されているのは関連であって、ある要因が受け入れを引き起こしたことを示すものではありません。
この結果が示すこと
著者らは、MBGの受け入れられやすさも、それに関わる要因も、メニューの構成要素ごとに異なっていたと結論づけています。そのうえで、プログラムの評価は献立を一括りにせず要素別に行うべきであり、それによってレシピの改善や、なじみの薄い食品に子どもたちが慣れていくための働きかけを、的を絞って進められると述べています。
給食を「全体としてどれだけ食べられたか」という一つの数字で見るだけでは、受け入れの低い部分が平均に埋もれてしまう——この研究が伝えているのは、そうした見落としを避けるための視点です。
著者:Meisi Aspiran Telaumbanua(Nutrition Study Program, Faculty of Health Sciences and Technology, University of Binawan, Jakarta, Indonesia)、Mia Srimiati(Nutrition Study Program, Faculty of Health Sciences and Technology, University of Binawan, Jakarta, Indonesia)、Adhila Fayasari(Nutrition Study Program, Faculty of Sciences and Technology, University of PGRI Yogyakarta, Yogyakarta, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Meisi Aspiran Telaumbanua, Mia Srimiati, Adhila Fayasari. Individual and environmental factors associated with acceptance of Free Nutritious Meal menu components among junior high school students. Arsip Keilmuan Gizi (AKG) 2026-09-10. DOI: 10.36590/akg.v3i2.2257. 原著ライセンス:CC BY.