この研究は、スウェーデン、イタリア、イランの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Energy Nexus

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

サフランは食用の花を咲かせる球根植物で、めしべ(柱頭)を乾燥させた香辛料が高値で取引される高付加価値作物です。しかし緯度の高い北部地域では、サフランが花を咲かせる生育期の天候が栽培の障害になると指摘されてきました。

そこで研究チームは、片側の軸を中心にパネルの角度を動かす「単軸追尾型」の営農型太陽光発電(アグリボルタイクス、AV)システムに注目しました。太陽光パネルが作り出す微気象(その場所まわりの小さな気候の変化)が、サフランの生産を後押しするかどうかを検証することが、この研究の目的です。

何をどう調べたか

実験はスウェーデン中部のヴェステロース近郊で行われました。研究チームは圃場試験を設け、遮るもののない露地と、単軸追尾型システムの太陽光パネルの下という二つの条件でサフランを栽培しました。パネルの下は通常であれば作付けに使われない場所であり、その未利用の面積を活用する狙いがあります。

著者らによれば、AVシステム内でサフランを間作(主作物と組み合わせて別の作物も育てること)したことで、パネルの構造物にともなう土地の損失は10%から3%へと減りました。これは1ヘクタールあたり約700平方メートルの栽培可能な面積が新たに生まれたことにあたり、主作物の生産には影響を与えずに、サフランを副次的な作物として育てられたと報告されています。

報告された主な結果

花の密度は、AVシステムの下で最大24.3本/平方メートルが観測されたのに対し、露地では最大0.5本/平方メートルにとどまりました。合計では、AVシステムの下で226本の花が数えられ、乾燥柱頭1.09グラムが得られた一方、露地で確認された花は3本、乾燥柱頭は0.02グラムでした。

研究チームは、この区画規模の測定値と、1ヘクタールあたり700平方メートルという実際に栽培できる面積をもとに、乾燥柱頭の収量の見込みを試算しています。単軸追尾型AVシステムでは最大203.4グラム/ヘクタール、露地条件では90.1グラム/ヘクタールとなり、主作物の生産を維持したまま2.26倍の増加にあたると報告されました。

なお著者らは、今回のサフラン栽培が1年間のみであった点を挙げ、サフランには本来5〜10年の生産可能な期間があることから、長期的な生産性の評価には今後の研究が必要だと述べています。

この研究が示すこと

論文は、営農型太陽光発電システムが北部の高緯度地域におけるサフランの生産性に良い影響を与えうることを、実際の圃場試験の結果として示しました。発電設備の下という、これまで作付けの対象とみなされてこなかった土地に目を向けることで、主作物を手放さずに高付加価値の作物を加えるという道筋があることを、この研究は具体的な数字とともに提示しています。

著者:Arash Khosravi(Department of Engineering Sciences, Mälardalen University, 72123 Västerås, Sweden)、Giovanni Urso(Department of Agricultural, Food and Forest Sciences, Universita` degli Studi di Palermo, 90128 Palermo, Italy)、Aliakbar Shafighi(Department of Agronomy, North Tehran Branch, Islamic Azad University, Tehran, Iran)、Mario Licata(Department of Agricultural, Food and Forest Sciences, Universita` degli Studi di Palermo, 90128 Palermo, Italy)、Davide Farruggia(Department of Agricultural, Food and Forest Sciences, Universita` degli Studi di Palermo, 90128 Palermo, Italy)、Zahra Mohammadi(BlueRedGold AB, 74947 Enköping, Sweden)、Sebastian Zainali(Department of Engineering Sciences, Mälardalen University, 72123 Västerås, Sweden)、Pietro Elia Campana(Department of Engineering Sciences, Mälardalen University, 72123 Västerås, Sweden)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Arash Khosravi, Giovanni Urso, Aliakbar Shafighi, et al. Agrivoltaic systems have the potential to unlock saffron cultivation in northern latitudes. Energy Nexus 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.nexus.2026.100817. 原著ライセンス:CC BY.