著者の所属・活動拠点の国は、ノルウェーです。
掲載誌:Food Culture & Society
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
肉を減らしたいと思っても、なかなか食生活は変わらない。この論文は、その背景にある「からだで身につけた知識」に注目しています。著者らは、体に染みついた感覚や習慣が、肉食を続けることにも、食べ方を変えることにも、どのように関わっているのかを明らかにしようとしました。
何を調べたか
研究チームは、ノルウェーの消費者を対象に、家庭でのインタビューと食事に関する実験を行いました。抄録によると、著者らはその分析から、肉食と「からだ」の関わりを互いに結びついた三つの側面に整理しています。
一つ目は、肉は健康によく栄養がある、という社会で共有された考え方です。二つ目は、買い物や料理、食事といった日々の繰り返しの中で身についた習慣です。三つ目は、味や満腹感、無性に食べたくなる気持ち、あるいは不快感といった、からだの感覚を人々がどう受け止めているかです。
主な報告結果
著者らは、これら三つの側面が重なり合うことで、肉が日常の中で「当たり前」「手軽」「満足できる」もの、時には「欠かせない」ものと感じられるようになると報告しています。
一方で、身についた食べ方やからだの感覚が、健康上の要請や周囲からの期待、こうありたいという食生活の目標と完全には一致しない場面で、ずれや摩擦が生まれることも示されました。著者らは、人の行動を日々の慣習的な実践の積み重ねとして捉える「実践理論」を手がかりに、こうした摩擦を「緊張状態にあるからだ」と呼んでいます。
論文によれば、この緊張は、これまでの食べ方をかえって強めることもあれば、慣れた習慣の中でなんとか折り合いをつけられることもあり、さらに食生活を見直すきっかけになることもあるとされています。
研究が示す意味
著者らは、生物としての側面と社会的な側面をあわせ持つからだが、肉食の継続と変化の両方を形づくっていることを示した点に、食の研究への貢献があるとしています。
そのうえで論文は、食生活の転換は考え方や意欲を変えるだけでは進まず、肉に代わる買い方、作り方、味わい方、食べ方が、なじみのある満足できるものとなり、周囲にも支えられるようになることが必要だと結論づけています。
原著論文の著者・所属:Marius Korsnes(Norwegian University of Science and Technology, NTNU)、Arve Hansen(University of Oslo)、Øyvind Sundet(University of Oslo)、Johannes Volden(University of Oslo)、Martin Loeng(Norwegian University of Science and Technology, NTNU)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Marius Korsnes, Arve Hansen, Øyvind Sundet, et al. Bodies in tension: embodied persistence and change in meat-eating. Food Culture & Society 2026-10-08. DOI: 10.1080/15528014.2026.2740964. 原著ライセンス:CC BY.