著者の所属・活動拠点の国は、パキスタン、イギリスです。

掲載誌:Forensic Insights and Health Sciences Bulletin

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

著者らは、機能性食品やニュートラシューティカルが免疫に働きかける仕組みと、人を対象とした研究で報告されている効果を整理しました。ここでいう機能性食品とは、基本的な栄養に加えて健康に役立つ生理活性成分を含む食品を指します。ニュートラシューティカルは、栄養成分を取り出したものやハーブ製品、サプリメントなどを含む呼び方です。

総説の目的は、これらの成分が、病原体に素早く反応する自然免疫と、特定の病原体を認識して記憶する獲得免疫にどう作用するかをまとめ、利用に伴う課題も検討することでした。

何を、どのように調べたか

この論文は、著者らが新たに食品を投与して効果を測った研究ではなく、細胞実験、動物実験、人を対象とした臨床試験や、複数の試験結果を統合するメタ解析を取り上げた総説です。文献検索の手順や採用基準、収集した文献の総数は示されていません。

主に扱ったのは、生きた有用微生物であるプロバイオティクス、その栄養源となるプレバイオティクス、植物に含まれるポリフェノール、酵母やキノコなどに由来するβグルカン、ビタミンD・亜鉛・セレンです。ウコン、ニンニク、ショウガの成分も取り上げています。免疫細胞の働きや、細胞間の情報伝達物質であるサイトカイン、炎症の指標、呼吸器感染症の発生や持続期間などを検討しました。

主な報告結果

著者らは、食品由来の成分が免疫に作用する経路を、大きく四つに整理しています。免疫細胞の受容体への働きかけ、サイトカイン産生の調節、酸化ストレスや炎症の抑制、腸内細菌と腸のバリア機能への作用です。免疫反応を強めるだけでなく、過剰な炎症を抑える作用も含めて扱っています。

プロバイオティクスについて、総説が紹介した12試験・計3,451人のメタ解析では、補給した群で対照群より呼吸器感染症の発生が10~15%少なく、感染の持続期間が1~2日短かったとされています。ただし、著者らは効果が菌株、投与量、個人の腸内細菌の構成によって異なると説明しています。βグルカンについても、持久系のトレーニングを行う競技者を対象に、補給によって上気道感染の発生が減った試験を紹介しています。

ポリフェノールでは、健康な成人120人を対象とする無作為化比較試験が紹介されています。アントシアニンを1日300mg、8週間補給した群では、プラセボ群に比べ、感染した細胞などを攻撃するナチュラルキラー細胞の活性が31%高まったと報告されています。これは免疫細胞の働きを測った結果であり、感染症の発生そのものを測った結果とは区別されます。

微量栄養素については、ビタミンD補給と急性呼吸器感染症リスクの低下を報告したメタ解析などを取り上げています。一方、亜鉛が十分に足りている人への予防的な補給については、証拠が確定していないとしています。セレンも、十分な摂取が免疫機能を支える一方、過剰な補給では免疫反応を抑える可能性があると説明しています。

この報告が示すこと

著者らは、一部の機能性食品や栄養補助成分には、免疫機能を支える可能性を裏づける研究があると結論づけています。ただし、対象となる成分や人の状態によって作用は異なり、食品やサプリメントを一括して同じ効果があるものとは扱っていません。

総説が挙げる限界は、研究の質、評価方法、参加者の特徴に大きなばらつきがあることです。また、細胞実験で働きが認められても、摂取後に体内へ吸収され利用される量は異なるため、そのまま人での効果には置き換えられません。適切な摂取量や対象者別の効果、長期的な安全性にも未確定の点があり、免疫への作用は成分と条件ごとに捉える必要がある、という報告です。

原著論文の著者・所属:Ume Habiba(Department of Eastern Medicine, University College of Conventional Medicine, Faculty of Medicine and Allied Health Sciences, The Islamia University of Bahawalpur, Punjab, Pakistan)、Shehla Akbar(College of Pharmacy, University of Sargodha, Sargodha, Punjab, Pakistan)、Tayyeba Rehman(Department of Homeopathic Medical Sciences, Faculty of Medicine and Allied Health Sciences, The Islamia University of Bahawalpur, Punjab, Pakistan)、Ghulam Ghaus(Advance Physiotherapy Practice, Glasgow Caledonian University, UK)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ume Habiba, Shehla Akbar, Tayyeba Rehman, et al. Functional foods & nutraceuticals: Mechanisms and applications in immune system enhancement. Forensic Insights and Health Sciences Bulletin 2026-10-31. DOI: . 原著ライセンス:CC BY.