著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Legume Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食料安全保障の向上、栄養不良の軽減、健康の増進を目的として、植物性食品への需要が世界的に高まっています。著者らは、豆類が栄養に富み、持続可能で比較的安価な植物性食品の供給源であり、新しい食品を開発するうえで健康的な選択肢になると位置づけています。
一方で、特に多くの先進国では、豆類の消費はまだ限られていると著者らは指摘しています。その理由として、加工や調理に時間がかかることと、レクチンやアルカロイドなどの「抗栄養素」が含まれることを挙げています。抗栄養素とは、栄養の吸収や利用を妨げる働きをもつ成分のことです。この総説は、新しい食品加工技術と、それらを豆類や豆を使った製品、その品質に応用することについて、包括的に論じることを主な目的としています。
取り上げられた技術
著者らは、抗栄養素を取り除いたり減らしたりするとともに、栄養があり安全で、すぐに食べられる豆類製品を開発するために有効に使える技術として、いくつかの新しい加工技術を取り上げています。
具体的には、食品に高い圧力をかける高圧処理、短時間の電気パルスを加えるパルス電界処理、食品自体に電流を流して発熱させるオーミック加熱、超音波を使って豆の吸水を促す超音波補助吸水、ラジオ波による加熱、電離放射線の照射、コールドプラズマ処理、オゾン処理が挙げられています。
報告された主な内容
抄録によると、これらの新しい技術は条件を適切に最適化すれば、豆の吸水の速さ、調理時間、たんぱく質の抽出、微生物面での安全性を改善できるとされています。さらに、好ましくない風味の抑制や、でんぷん、食物繊維、加工の過程で生じる副産物のより良い活用にも役立つ可能性があり、付加価値の向上につながると述べられています。
ただし著者らは、すべての豆類に適した単一の加工技術は存在しないとも指摘しています。豆の成分や構造、加工したときのふるまいは、種や品種によって大きく異なるためです。そのため、それぞれの豆の特性、目指す製品、製品の品質、必要なエネルギー、環境への影響に応じて加工条件を最適化するための研究が、まだ必要だとしています。
この総説が示すこと
この総説は、豆類の利用を妨げてきた調理の手間や抗栄養素といった課題に対し、さまざまな新しい加工技術が手がかりになり得ることを整理しています。同時に、その効果は豆の種類や加工条件によって左右され、万能な方法はないという点も示しています。
原著論文の著者・所属:Md Mirza Sahria Kamal(Department of Food Science & Human Nutrition Michigan State University East Lansing Michigan USA)、Kirk D. Dolan(Department of Food Science & Human Nutrition Michigan State University East Lansing Michigan USA)、Muhammad Siddiq(Department of Food Science & Human Nutrition Michigan State University East Lansing Michigan USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Md Mirza Sahria Kamal, Kirk D. Dolan, Muhammad Siddiq. Innovative Processing Technologies for Legumes and Legume Products—A Review. Legume Science 2026-10-21. DOI: 10.1002/leg3.70160. 原著ライセンス:CC BY.