ヨーグルトを乾燥させて作る「ヨーグルトメルト」は、パリッとした食感と酸味のある風味を持つスナック状の食品です。近年は栄養価を高めた機能性の乳製品への関心が高まっており、ナツメ(なつめやし・ジュジュベ)やセレンといった素材を活用した新しい乳製品の開発が試みられています。今回紹介する研究は、ナツメ風味とセレン強化を組み合わせたヨーグルトメルトを開発し、その製品特性を評価したものです。

どのように開発されたのか

研究チームはまず、セレンを強化したラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を組み合わせた複合スターター菌を用いて、セレン強化ヨーグルトのベースを作りました。そこにナツメの粉末を加え、さらに単因子実験と応答曲面法(RSM)という手法を使って、製造条件を最適化しています。最適化にあたっては官能評価(人が実際に味や食感を評価する方法)を主な指標としました。

その結果、最適な条件はナツメ粉末の添加量が0.5g、マイナス45度で予備凍結した後、38度で凍結乾燥するというものでした。この条件で作られた製品は、官能評価スコアが87.38点となり、食物繊維含量0.32%、総セレン含量19.27μg/100g、ビタミンC含量1.85mg/100g、総抗酸化能(FRAP値)14.17mmol/Lという成分値が得られたと報告されています。

通常品との比較でわかったこと

研究では、この開発品を通常のサンプルと比較しています。その結果、開発品はセレン、ビタミンC、食物繊維の含量が高く、官能評価や食感の特性も優れていたとされています。また走査型電子顕微鏡による観察とタンパク質の二次構造の解析からは、開発品の微細構造がより緻密で連続的であり、β-シート構造の割合が増加していたことが確認され、これはタンパク質構造の安定性が向上したことを示すものと説明されています。さらに、開発品は水や飲料に溶けやすくなる「即溶性」と抗酸化活性の両面でも明らかな向上が見られたと報告されています。

この研究の位置づけ

この研究は、消費者が求める栄養価の高い機能性食品へのニーズに応えるとともに、乳製品の多様化やナツメ・セレン資源の高付加価値な活用を目指したものと位置づけられています。著者らは、本研究が機能性乳製品の開発と資源活用における新しいアプローチを提供するものだとまとめています。なお、これは一つの研究であり、報告されている数値や特性は今回の実験条件下で得られたものである点に留意が必要です。

まとめ

今回紹介した研究では、セレン強化乳酸菌とナツメ粉末を用いたヨーグルトメルトが開発され、製造条件の最適化を経て、セレンやビタミンC、食物繊維を多く含み、抗酸化能や食感、溶けやすさに優れた製品が得られたことが示されました。機能性を持つ乳製品の新しい形として、今後の展開が注目される分野の一つといえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ナツメ風味セレン強化ヨーグルトメルトの開発と製品特性評価(DOAJ(オープンアクセスジャーナルディレクトリ)・2026年09月掲載予定)