著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Mitra Mahajana Jurnal Pengabdian Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

取り組みの背景と目的

インドネシアでは、子どもの身長が年齢相応に伸びない「発育阻害(スタンティング)」が、今も大きな公衆衛生上の課題です。研究チームが対象としたのは、デリ・セルダン県の沿岸部にあるバガン・セルダン村です。この村では、2歳未満の子どものうち発育阻害が25.9%、低体重が29.6%と報告されており、いずれも国の平均を上回っていました。

村の周辺には海産物が豊富にあります。それでも、地元の食材を使った補完食(母乳に加えて与える離乳食)について、良好な知識を持つ母親は25.9%でした。調理の技能が良好な母親も37%にとどまっていました。そこで著者らは、発育阻害の予防に向けて、沿岸の地元食材を使った補完食づくりに関する母親の知識と技能を高めるプログラムを実施しました。

どのように進めたか

プログラムは、地域の人々が主体的に関わる「参加型の地域エンパワーメント」という方法で、2026年2月から5月まで行われました。参加者は、2歳未満の子どもを持つ母親27人です。これに加え、地域の保健活動拠点(ポシャンドゥ)を支える住民ボランティア5人と、家族福祉の向上に取り組む地域の女性組織(PKK)のメンバー5人も加わりました。

活動は大きく二つに分かれます。一つは栄養に関する相談・教育で、参加者とやり取りしながら進める講義と、小冊子を使った学習を組み合わせました。もう一つは補完食づくりの実習で、レムル(イワシの仲間)、ホソヒラアジ、小エビといった地元の沿岸食材が使われました。

成果を確かめるため、知識と技能は、プログラムの前後に実施した質問票と、直接観察のためのチェックリストを用いて評価されました。結果は記述的に分析されています。抄録で報告されているのは、参加者の実施前と実施後の比較です。

主な結果

論文によると、知識が「良好」に分類される母親の割合は、実施前の25.9%から実施後には100%に上がりました。技能が「良好」とされた割合も、37.0%から100%になったと報告されています。

特に大きく伸びたのは、地元の沿岸食材が持つ栄養価への理解と、衛生的な調理方法に関する点でした。プログラムを通じて地元食材を使った補完食のレシピが5種類考案されました。栄養教育の小冊子とレシピ集も参加者全員に配られました。

著者らは、対話型の栄養相談、調理の実演、参加者自身による実習という組み合わせが非常に効果的だったと述べています。また、この結果は同様の先行研究の知見とも一致するとしています。

この取り組みが示すこと

著者らは、このプログラムによって、発育阻害の予防を目的とした地元沿岸食材による補完食づくりについて、母親の知識と技能が大きく向上したと結論づけています。ここで評価されたのは母親の知識と技能です。子どもの発育そのものの変化が報告されたわけではありません。

この取り組みでは、身近な海の幸を離乳食に生かす方法を、地域の人々と一緒に学び、実際に手を動かして身につけました。著者らは、この参加型の進め方は、似た海洋資源を持つ他の沿岸地域でも再現できるとしています。

原著論文の著者・所属:Herta Masthalina(Nutrition Study Program, Health Polytechnic of the Ministry of Health, Medan, Indonesia)、Tetty Herta Dolok Saribu(Nutrition Study Program, Health Polytechnic of the Ministry of Health, Medan, Indonesia)、Mincu Manalu(Nutrition Study Program, Health Polytechnic of the Ministry of Health, Medan, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Herta Masthalina, Tetty Herta Dolok Saribu, Mincu Manalu EMPOWERMENT OF MOTHERS OF CHILDREN UNDER TWO THROUGH EDUCATION AND LOCAL COASTAL FOOD-BASED COMPLEMENTARY FEEDING TRAINING FOR STUNTING PREVENTION. Mitra Mahajana Jurnal Pengabdian Masyarakat 2026-08-05. DOI: 10.37478/mahajana.v7i2.8509. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。