日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
月経前や月経中に、体のだるさや気分の落ち込み、イライラなどを感じる女性は少なくありません。こうした症状は日常生活や仕事のパフォーマンス、いわゆる生活の質(QOL)にも影響しうることから、食事や栄養面からのケアの可能性に関心が寄せられています。今回紹介する研究では、乳タンパク質の一種である「α-ラクトアルブミン」を長期間摂取した場合に、月経に伴う症状やQOLにどのような変化が見られるかが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験という厳密な方法で調べられました。
これまでの研究では、α-ラクトアルブミンの短期摂取が月経期間中の身体症状を和らげる可能性が報告されていたとのことです。そこで今回の研究では、より長期間にわたって摂取した場合の効果が検証されています。
研究でわかったこと
この試験には、20〜39歳の健康な日本人女性140名が参加しました。参加者は無作為に2つのグループに分けられ、一方はα-ラクトアルブミン(1日900mg)を、もう一方はプラセボ(有効成分を含まないもの)を、月経周期3回分にわたって摂取しました。月経前および月経中の症状は、周期ごとに評価されています。
主要な評価項目とされたのは「月経困難症質問票(MDQ)」による自覚症状の評価でした。また副次的な評価項目として、健康関連QOLを測る「SF-36」や視覚的評価スケール(VAS)による自覚症状、尿中プロスタグランジン濃度なども調べられました。
結果として、主要評価項目であるMDQの総合スコアおよび6つの因子スコアについては、月経前・月経中いずれの時期でも、α-ラクトアルブミン群とプラセボ群の間に統計的な有意差は見られませんでした。つまり、月経に伴う症状全体を改善したとまでは言えない結果です。
一方で、探索的な解析(あらかじめ主要な目的として設定されていたわけではない、追加的な分析)では、いくつか気になる点も報告されています。月経前のMDQの下位項目のうち「体重増加」と「運動協調性の低下」については、プラセボ群と比較して有意な軽減が見られたとのことです(それぞれp<0.05)。また副次評価項目であるSF-36では、月経前の「役割関連QOL」と「社会的QOL」のスコアについても、プラセボ群より有意な改善が見られたと報告されています(p<0.05)。それ以外の項目については、両群間に有意な差は認められませんでした。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究の結論としては、α-ラクトアルブミンの長期摂取は、主要評価項目で見る限り月経関連症状全体を改善するとは言えなかったとされています。ただし、副次的な評価項目においては、月経前の役割関連・社会的側面のQOLに関して、何らかの好ましい可能性が示唆されたとまとめられています。
論文自体も、これらの副次的な結果はあくまで探索的な位置づけであり、確認のためにはさらなる研究が必要だと述べています。主要評価項目で有意差が出なかった以上、今回の結果だけで効果があると判断することはできず、一つの研究として今後の検証を待つ段階にあると理解するのが適切でしょう。
まとめ
今回の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、健康な日本人女性を対象に、α-ラクトアルブミンを3月経周期にわたって摂取してもらい、月経関連症状とQOLへの影響が検討されました。主要評価項目である月経困難症状の総合的な指標では明確な差は見られなかったものの、体重増加や運動協調性低下といった一部の症状、そして月経前の役割関連・社会的QOLについては、プラセボと比べて改善の可能性を示すデータが得られています。これらはあくまで探索的な結果であり、今後さらなる研究による確認が待たれるところです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):健康な日本人女性における月経関連症状とQOLに対するα-ラクトアルブミン長期摂取の効果:無作為化二重盲検プラセボ対照試験(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年07月)
原著論文の著者・所属:Kentaro Ito(ivision of Research and Development, Meiji Co., Ltd., Hachioji, Tokyo, Japan)、Kae Yamazaki(ivision of Research and Development, Meiji Co., Ltd., Hachioji, Tokyo, Japan)、Anna Natori(ivision of Research and Development, Meiji Co., Ltd., Hachioji, Tokyo, Japan)