この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Trends in Pediatrics
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
妊娠中の食生活と子どものアレルギーの経過を調べる
研究チームは、母親が妊娠中にヨーグルトとチーズを毎日食べていたかどうかと、子どもが牛乳アレルギーの症状を起こさずに牛乳を摂取できるようになるまでの期間との関係を調べました。牛乳アレルギーの発症を予防できるかではなく、すでにアレルギーのある子どもの経過に着目した研究です。
対象は、2020年1月から2023年1月に小児アレルギー外来を受診した子どものうち、解析に必要な条件を満たした40人です。いずれも、アレルギー反応に関わる抗体「IgE」が関与する牛乳たんぱく質アレルギーと診断されていました。研究チームは過去の診療記録を調べ、母親への電話質問で妊娠中のヨーグルトとチーズの摂取頻度を確認しました。
毎日食べていた母親の子どもで、牛乳を摂取できる時期が早かった
母親が妊娠中にヨーグルトとチーズを毎日食べていた群は22人、毎日ではなかった群は18人でした。著者らの報告では、初めて牛乳を症状なく摂取できるようになった年齢の中央値は、毎日摂取群で生後18か月、毎日ではない群で生後40か月でした。そこまでに要した期間の中央値も、それぞれ15か月と34か月で、いずれの差も統計的に有意でした。中央値は、値を小さい順に並べたときの中央の値です。
一方、アレルギー症状が出始めた年齢には、両群で統計的に有意な差はありませんでした。今回の主な結果は、症状の出始める時期よりも、その後に牛乳を摂取できるようになる時期に違いが見られたというものです。
食生活と回復の時期との関連を示した報告
著者らは、妊娠中の発酵乳製品の毎日の摂取が、子どもの牛乳アレルギーが落ち着くまでの期間の短さと関連していたと結論づけています。ただし、これは少人数を対象に過去を振り返った観察研究であり、母親の摂取が回復を早めたと断定することはできません。妊娠中の食事についての記憶の違いや、子どものもともとのアレルギーの程度などが結果に関わった可能性も、論文で指摘されています。
この研究が伝えるのは、妊娠中の食生活が、子どもの牛乳アレルギーの有無だけでなく、その後の経過とも関係する可能性です。
著者:Gülten Tunçerler(Denizli State Hospital, Denizli, Türkiye)、Simge Atar Beşe(Department of Pediatric Allergy and Immunology, School of Medicine, Afyon University, Afyon, Türkiye)、Duygu Erge(Department of Pediatric Allergy and Immunology, School of Medicine, Aydın Adnan Menderes University, Aydın, Türkiye)、Pınar Uysal(Department of Pediatric Allergy and Immunology, School of Medicine, Aydın Adnan Menderes University, Aydın, Türkiye)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gülten Tunçerler, Simge Atar Beşe, Duygu Erge, et al. Breaking the allergy chain: Maternal fermented dairy consumption and its impact on children’s milk tolerance. Trends in Pediatrics 2026-09-30. DOI: 10.59213/tp.2026.417. 原著ライセンス:CC BY.