著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Clinical Nutrition ESPEN

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品には、体に良い働きをしうる微生物や、発酵の過程で生まれる生理活性物質が含まれています。そのため、母親と子どもの健康を支える可能性があると考えられてきました。しかし論文の抄録によると、米国の集団では、妊娠中に発酵乳製品をどれだけ食べているか、またそれが母子の健康とどう関係するかは、十分に調べられていませんでした。

そこで研究チームは、妊娠中の発酵乳製品の摂取量が、三つの事柄と関連するかを調べました。一つ目は妊娠中の体重増加、二つ目は巨大児(出生時体重が4000グラム以上の赤ちゃん)、三つ目は母親と乳児の腸内細菌の構成です。この研究では、発酵乳製品をチーズとヨーグルトに限定して扱っています。

調べた方法

対象は、「GLOWING」と呼ばれる研究の参加者です。参加者は妊娠中に6回の受診時それぞれで、3日間の食事記録をつけました。研究チームは、記録された食品の名称や分類コードをもとに、チーズとヨーグルトの摂取量を取り出しました。

腸内細菌については、母親では妊娠の各三半期(妊娠期間を3つに分けた各時期)に、乳児では生後1か月、6か月、12か月の時点で調べました。分析には、細菌がもつ特定の遺伝子(16S rRNA遺伝子)の配列を読み取り、どの種類の細菌がどの程度いるかを推定する方法が使われました。

主な結果

この集団での妊娠中の発酵乳製品の摂取量は、平均で1日63グラムでした。摂取量が多い人ほど、研究参加時の体重がより健康的な範囲にあり、妊娠中の食事全体の質を示す指標(健康的な食事指数)も高いという関連がみられました。

一方、発酵乳製品の摂取量と、妊娠中の体重増加や巨大児との間には、統計的に意味のある関連はみられませんでした。母親の腸内細菌の構成とも関連は認められませんでした。乳児の腸内細菌では、生後6か月の時点で、バクテロイデス門(現在の名称はバクテロイドータ門)と呼ばれる細菌のグループが、母親の妊娠中の摂取量が多いほど少ないという関連が、ただ一つだけみられました。

この研究が示すこと

著者らは、妊娠中に発酵乳製品を多くとる人は、妊娠前または妊娠初期の体重がより健康的で、妊娠中の食事の質も高い傾向にあった一方で、妊娠中の体重増加、巨大児、母親の腸内細菌とは関連がみられなかったとまとめています。ただし、これらはあくまで関連を示したもので、発酵乳製品が原因となって違いが生じたことを示したものではありません。

また著者らは、この集団では妊娠中に食べられていた発酵食品の種類も量も限られていたため、その点を踏まえて結果を解釈する必要があると述べています。発酵乳製品と妊娠中の健康との関係は、今回の結果だけでは結論づけられない段階にあることが、この研究から読み取れます。

著者:Manoj Gurung(Microbiome and Metabolism Research Unit, Arkansas Children's Nutrition Center, USDA-ARS, Little Rock, AR, USA)、Ranjitha Chandrashekar(Microbiome and Metabolism Research Unit, Arkansas Children's Nutrition Center, USDA-ARS, Little Rock, AR, USA; Nutritional Sciences Department, Oklahoma State University, Stillwater, OK, USA)、Jessica Lee Thomson(Delta Human Nutrition Research Program, USDA-ARS, Stoneville, MS, USA)、Alicia S. Landry(School of Kinesiology and Nutrition, The University of Southern Mississippi, Hattiesburg, MS, USA)、Quentin D. Read(USDA-ARS, Southeast Area, Raleigh, NC, USA)、Audrey E. Martinez(Arkansas Children's Nutrition Center, USDA-ARS, Little Rock, AR, USA)、Aline Andres(Arkansas Children's Nutrition Center, USDA-ARS, Little Rock, AR, USA; Department of Pediatrics, University of Arkansas for Medical Sciences)、Laxmi Yeruva(Microbiome and Metabolism Research Unit, Arkansas Children's Nutrition Center, USDA-ARS, Little Rock, AR, USA. Electronic address: [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Manoj Gurung, Ranjitha Chandrashekar, Jessica Lee Thomson, et al. Associations between fermented dairy food intake during pregnancy and gestational weight gain, macrosomia, and gut microbiota.. Clinical Nutrition ESPEN 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.clnesp.2026.105194. 原著ライセンス:CC BY.