この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Media Ilmiah Kesehatan Indonesia

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

学生に身近な屋台料理の安全性を確かめる

インドネシアでは「バクソ」と呼ばれる肉団子料理が広く好まれ、手軽に食べられることから大学の周辺でも多く売られています。研究チームは、マカッサル国立大学(UNM)パランタンブン・キャンパスの周辺で販売されている牛肉のバクソについて、病原性細菌の汚染と、食品への使用が禁じられているホルマリンの有無を調べました。

論文によると、バクソはたんぱく質と水分が多いため微生物が増えやすい食品です。汚染は材料や器具、作り手、保存、提供、販売場所など、さまざまな段階で起こりうると説明されています。さらに、日持ちを良くしたり歯ごたえを出したりする目的で、ホルマリンを不正に加える売り手がいることもこれまで報告されてきました。

著者らは、これまでの研究の多くが細菌汚染とホルマリンのどちらか一方だけを扱っていたと指摘しています。キャンパスで売られるバクソについて両方を同時に評価した情報は限られており、このキャンパス周辺での実態も十分に分かっていませんでした。そこで本研究は、大腸菌(Escherichia coli)とサルモネラ属菌(Salmonella sp.)の検出、およびホルマリン含有の評価を目的としました。

3店舗のバクソを4種類の検査で調べる

調査は2026年2月から3月に行われました。学生に人気があるキャンパス周辺の3つの売り手から、口頭で了承を得たうえでバクソを購入し、試料としました。試料にはBKS-X、BKS-Y、BKS-Zという記号が付けられ、大学の生物学実験室で分析されました。

まず、食品中に含まれる細菌の総量の目安を得るため、「一般生菌数(TPC)」を測定しました。これは試料を薄めて寒天培地に広げ、生えてきた細菌の集まり(コロニー)を数える方法です。

大腸菌については、「最確数(MPN)法」で調べました。試料を段階的に薄めて液体培地の入った試験管に入れ、細菌がガスを出した試験管の本数から、試料1グラムあたりのおおよその菌数を推定する方法です。陽性になったものはさらに、大腸菌が金属光沢のある緑色のコロニーを作る特殊な培地(EMBA培地)で確認しました。

サルモネラ属菌は、この菌が育ちやすいように作られた選択培地(SSA培地)で調べました。中心が黒い無色のコロニーが現れれば陽性と判定します。ホルマリンは市販の簡易検査キットで検出しました。試薬を加えて紫色に変われば陽性とする定性検査で、含有の有無を判定するものです。量は測っていません。判定の確かさを確認するため、ホルマリン標準液を陽性対照、蒸留水を陰性対照として同時に試験しました。

全試料から大腸菌、2試料からサルモネラ属菌とホルマリン

一般生菌数は、BKS-XとBKS-Yがいずれも1グラムあたり5.4×10⁴個で、インドネシア食品医薬品監督庁(BPOM)の規則が定める上限(1×10⁵個)の範囲内でした。一方、BKS-Zは2.13×10⁵個で、この上限を超えていました。

大腸菌は、最確数法とEMBA培地の両方で3試料すべてから検出されました。推定値はBKS-Xが1グラムあたり11、BKS-Zが3.6、BKS-Yが3でした。論文が基準として示す「3未満」をいずれも満たしていませんでした。

サルモネラ属菌については、BKS-XとBKS-Yで特徴的なコロニーが見られ、陽性と判定されました。BKS-Zではコロニーが育たず陰性でした。ホルマリン検査でも、BKS-XとBKS-Yは3回の繰り返し試験すべてで薄紫からピンク色に変化して陽性となり、BKS-Zは色の変化がなく陰性でした。

研究が示すこと

著者らは、キャンパス周辺で売られている牛肉バクソは、微生物と化学物質の両面で食品安全の要件を十分には満たしていないと結論づけています。一般生菌数が基準内の試料もありましたが、病原性細菌やホルマリンが見つかった以上、安全な食品とはみなせないという判断です。

この研究で調べたのは3つの売り手のバクソであり、ホルマリンは有無だけを判定しています。それでも、学生が日常的に口にする身近な食べ物について、菌の総量だけでは安全性を判断できないこと、そして衛生管理と監視の重要性を具体的なデータで示した報告といえます。

著者:Rahmayani Rahmayani(Universitas Negeri Makassar)、Mushawwir Thaiyeb(Universitas Negeri Makassar)、Alimuddin Ali(Universitas Negeri Makassar)、Hartono Hartono(Universitas Negeri Makassar)、Kusdianawati Kusdianawati(Universitas Negeri Makassar)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rahmayani Rahmayani, Mushawwir Thaiyeb, Alimuddin Ali, Hartono Hartono, Kusdianawati Kusdianawati Analysis of Pathogenic Bacteria and Formalin Content in Beef Meatballs Sold on the UNM Parangtambung Campus. Media Ilmiah Kesehatan Indonesia 2026-09-30. DOI: 10.58184/miki.v4i3.1052. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。