テレビやタブレットなどの画面(スクリーン)を見る時間が長い子どもは、睡眠や食事、こころの状態にどのような影響があるのでしょうか。乳幼児期からスマートフォンやタブレットに触れる機会が増える中、スクリーン利用と子どもの生活習慣・メンタルヘルスとの関連は、多くの保護者にとって関心の高いテーマです。今回紹介するのは、ポルトガルの2〜6歳の就学前児童931人を対象に、スクリーン時間と生活習慣、そして情緒・行動面の特徴との関連を調べた横断研究です。
研究の方法
この研究では、保護者が子どもの生活習慣や情緒・行動上の特徴に関する質問票に回答しました。情緒・行動面の評価には「強み・困難さ質問票(SDQ)」が用いられ、あわせて身長や体重などの体格測定も行われました。スクリーン時間は、1日あたり60分以下を「低い」、60分超120分未満を「中程度」、120分以上を「高い」の3群に分類されました。分析にあたっては、年齢、性別、体格指数(BMI)、保護者の学歴の影響を取り除くための統計モデル(線形回帰・ロジスティック回帰)が用いられました。
研究でわかったこと
生活習慣については、スクリーン時間が長い子どもほど、平日の睡眠時間が短く、超加工食品の摂取量が多い傾向が示されました。一方で、これらの要因を調整した後には、活発な遊びの時間や課外スポーツへの参加との明確な関連は見られなかったと報告されています。
こころの健康については、スクリーン時間が長い子どもほど、SDQのスコアが「通常の範囲を超える」と判定される割合(オッズ)が高いことが示され、これは情緒・行動面の困難さがより大きいことを示すものとされています。また、週末の睡眠時間が長いことや、母親の学歴が低いことも、SDQのカテゴリーと独立して関連していたと報告されています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、ある時点での状況を調べた横断研究であり、スクリーン時間の長さが原因となって睡眠不足や情緒・行動上の困難さを引き起こしていると断定できるものではありません。あくまで一つの研究の結果であり、これによって結論が確定したわけではない点に留意が必要です。著者らは、今回得られた結果は、幼児期にバランスの取れたスクリーン利用と健康的な生活習慣を推奨する現行の指針を支持するものであるとしつつ、家庭環境や社会人口統計学的要因(保護者の学歴など)が子どものこころの健康に果たす役割の重要性も強調しています。
まとめ
今回の研究では、就学前児童においてスクリーン時間が長いことが、平日の睡眠時間の短さ、超加工食品摂取の多さ、そして情緒・行動面の困難さの大きさと関連していることが示されました。ただし、これは横断研究による関連の報告であり、因果関係を示すものではありません。今後、こうした関連の背景にある要因や時間の経過に伴う変化を調べる研究が期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:就学前児童におけるスクリーン使用、生活習慣、メンタルヘルス:横断研究(児童青年精神医学とメンタルヘルス・2026年08月)