お通じの悩みは多くの人にとって身近なテーマです。今回紹介する総説論文は、成人の10〜15%が経験するとされる慢性便秘について、食事や生活習慣がどう関わるのかをこれまでの研究から整理したものです。食物繊維の量やキウイ・プルーンといった特定の食品、地中海式の食事パターン、水分摂取、運動や睡眠との関連まで、幅広い切り口でまとめられています。

食物繊維はどれくらい、どんな形でとるとよいか

この総説では、1日25〜35gの食物繊維摂取を支持する根拠があるとまとめられています。できれば食品からとることが望ましいとされ、便のかさを増やし、水分を保持し、大腸内での発酵を促す仕組みが関わっていると説明されています。サプリメントの中では、サイリウム(オオバコ由来の食物繊維)が特に有効性が高く、症状の全体的な改善(相対リスク1.82、95%信頼区間1.51〜2.20)や排便回数、いきみの軽減で効果が確認された一方、他の食物繊維では効果が限定的だったとの結果が示されています。

キウイやプルーン、マンゴーの効果

キウイフルーツやプルーンといった特定の食品は、完全自発排便(すっきり感を伴う自然な排便)の回数を増やす方向の結果が見られ(相対リスク1.13、95%信頼区間0.39〜1.88)、便の性状の改善にもつながると報告されています。この効果は食物繊維に加え、ソルビトールや植物由来の生理活性成分が関わっていると考えられています。マンゴーについては腸内細菌叢を介した効果の可能性が示唆されているものの、根拠となる研究はまだ限られているという位置づけです。

食事パターン・水分・運動・睡眠との関係

地中海式の食事パターンを摂る人では、便秘のリスクが16%低いという関連が報告されており(95%信頼区間9〜22%)、この関連は食物繊維の摂取量とは独立したものだったとされています。水分摂取については便秘リスクとの間に逆相関(オッズ比0.80)が見られたものの、すでに十分な水分をとれている人がさらに水分を増やしても症状の改善にはつながらなかったという結果も示されています。身体活動は便秘のリスクを下げる方向に働く一方、睡眠の問題はリスクを高める方向に関連し(オッズ比1.47〜1.94)、睡眠時間が短すぎても長すぎてもリスクが上がるU字型の関係が見られたとまとめられています。

この論文をどう読むか

この論文は個々の実験を新たに行ったものではなく、既存の研究成果を集めて整理した総説(ナラティブレビュー)です。著者らは、食物繊維の種類や食事パターン、生活習慣の修正を優先しつつ、多因子的で個別化された、病態生理に基づくアプローチを支持する内容だと結論づけています。ただし、研究間の方法の違いが大きいことや、観察研究が中心であることが限界点として挙げられており、因果関係を断定できる段階ではない点には注意が必要です。また食物繊維を増やす際は、お腹の張りやガスを抑えるために少量から徐々に増やし、十分な水分と組み合わせることが望ましいともまとめられています。

便秘への対処法は一つに絞れるものではなく、繊維の種類、食事全体のパターン、そして生活習慣という複数の要素を組み合わせて考える必要がありそうです。日々の食事を見直す際の一つの手がかりとして、この総説の内容を役立ててみてはいかがでしょうか。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:便秘に対する食事および生活習慣の推奨事項(クリニカス・デ・ガストロエンテロロジア・デ・メヒコ(英語版)・2026年08月)

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。