ローズヒップ(バラの実)に含まれる「ティリロシド」というポリフェノールの一種が、内臓脂肪に関わる可能性があるとして研究が続けられている。過去には肥満予備群を対象にした研究で、腹部の総脂肪面積や内臓脂肪面積を減らしたとの報告もあったが、その根拠となるデータはまだ限られているという。今回、日本の過体重の成人を対象に、ローズヒップ由来ティリロシドを含む食品を12週間続けて摂取した場合の変化を調べた、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験が報告された。
著者にはNana Norikami氏、Akifumi Nagatomo氏、M. Kohno氏、Naoko Suzuki氏、Tsuyoshi Takara氏が名を連ねている。本研究は日本の過体重の成人(BMIが25以上30未満)を対象に行われた日本関連の研究である。
どのように調べたのか
試験は2023年10月31日から2024年4月30日にかけて実施された。参加者はランダムに二つのグループに分けられ、一方は0.1%のティリロシドを含むローズヒップ抽出物を1日100ミリグラム摂取する「ローズヒップ群」、もう一方はプラセボ(見た目や味を似せた対照品)を摂取する「プラセボ群」で、各群50名ずつが割り付けられた。
主要な評価項目は12週間の摂取後における腹部内臓脂肪面積(VFA)の変化で、そのほかに腹部総脂肪面積(TFA)、腹部皮下脂肪面積(SFA)、体重、BMI、体脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、ウエスト周囲径、食事内容の調査も行われた。腹部脂肪に関する項目はローズヒップ群47名、プラセボ群46名で、体組成に関する項目はそれぞれ48名、49名で解析された。
わかったこと
12週間の摂取後、腹部内臓脂肪面積はローズヒップ群でプラセボ群と比べて有意に減少していた。あらかじめ設定された、摂取開始時点の内臓脂肪面積が100平方センチメートル未満だった参加者に絞った探索的なサブグループ解析でも、同様の群間差が見られたという。
また摂取開始から4週間の時点では、ローズヒップ群でプラセボ群と比べて体脂肪率と脂肪量が有意に低く、除脂肪量と筋肉量が有意に高いという結果も得られた。ただし、こちらの体組成に関する項目については、サブグループ解析では群間の有意差は見られなかった。著者らは、この4週間時点の体組成の差については探索的な副次的所見として解釈すべきだとしている。
この研究をどう読むか
この研究は、事前にサンプルサイズを見積もったうえで腹部内臓脂肪面積を主要評価項目として設計されており、著者らはローズヒップ由来ティリロシドが腹部脂肪の管理に関わる可能性について、証拠の信頼性を高めるものだと位置づけている。一方で、体組成に関する4週間時点の差はあくまで探索的な副次的所見とされており、内臓脂肪面積の結果とは扱いを分けて考える必要がある。一つの試験の結果であり、これのみをもって効果が確定したものではない点に留意したい。
まとめ
今回の試験では、ローズヒップ由来ティリロシドを含む食品を12週間摂取したグループで、腹部内臓脂肪面積がプラセボ群より有意に減少したことが報告された。過体重の成人を対象とした二重盲検の比較試験によるデータであり、今後さらに研究が積み重ねられることで、ティリロシドと内臓脂肪の関係についての理解が深まっていくことが期待される。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Nana Norikami, Akifumi Nagatomo, M. Kohno, et al. Effects of consuming foods containing rosehip-derived tiliroside on abdominal visceral fat: A randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group trial. ファンクショナル・フーズ・イン・ヘルス・アンド・ディジーズ (2026). DOI: 10.31989/ffhd.v16i9.2042. 原著ライセンス: cc-by.