この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Multidisciplinary Indonesian Center Journal

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

高血圧は代表的な非感染性疾患で、年齢や性別、家族歴のように変えられない要因のほか、食事、運動、肥満、喫煙、心理的ストレスといった生活上の要因も関わるとされています。インドネシアのボントマランヌ保健センターでも、高血圧は2024年に記録された主要な10疾患の一つで、419件にのぼりました。

ストレスを受けると体内でコルチゾールなどのホルモンが分泌され、心拍数や血圧が上がることがあります。また、慢性的なストレスは食行動にも影響し、気持ちを落ち着かせるために甘いものを選びやすくなる場合があると論文は説明しています。一方、塩分の主成分であるナトリウムのとりすぎは、体内に水分をため込み血圧を押し上げる要因になります。ただしナトリウムの摂取量は、ストレスよりも、ふだんの食習慣や手に入る食品、経済的な事情、家族や地域の食文化に左右されやすい可能性もあります。

そこで研究チームは、同保健センターの高血圧患者を対象に、ストレスの度合いと砂糖の摂取量、ストレスの度合いとナトリウムの摂取量との間に関連があるかを調べました。

どのように調べたか

調査は2026年1月から3月に行われ、18歳を超え59歳までの高血圧患者40人が参加しました。参加者は、来所した人など調査時に協力できた人から選ぶ方法で集められています。研究は、ある一時点の状態をまとめて調べる「横断研究」と呼ばれる形式です。

ストレスの度合いは、最近の生活でどれだけストレスを感じているかを尋ねる10問の質問票(PSS-10)で測り、軽度・中等度・重度に分けました。砂糖とナトリウムの摂取量は、前日24時間に食べたり飲んだりしたものを聞き取る方法を、連続しない3日について行って推定しました。砂糖は1日50グラム以下を「適量」、ナトリウムは1日1.5グラム以下を「適量」とし、それを超える場合を「過剰」としています。あわせて血圧も測定しました。そのうえで、少人数のデータに適した統計的手法(フィッシャーの正確確率検定)で、ストレスの度合いと各摂取量の関係を調べました。

主な結果

参加者の多くは女性(85.0%)で、年齢は49歳以上の層が中心でした。ストレスの度合いは中等度が72.5%と最も多く、砂糖の摂取量は82.5%が適量の範囲でした。一方で、ナトリウムの摂取量は65.0%が過剰でした。論文では、塩や調味料、インスタント麺、塩干し魚、ソース類、加工食品などがナトリウム源になりうると述べられています。

ストレスと砂糖の摂取量の間には、統計的に意味のある関連が見られました。たとえば砂糖が過剰だった人は、重度ストレスの人では5人中3人だったのに対し、軽度ストレスの人では6人中1人でした。ただし研究チームは、重度ストレスでも砂糖が適量の人や、ストレスが低くても習慣的に砂糖を多くとる人がいたことも指摘しており、反応には個人差があるとしています。

これに対し、ストレスとナトリウムの摂取量の間には、統計的に意味のある関連は見られませんでした。ナトリウムのとりすぎはストレスの度合いにかかわらず広く見られました。

この研究が示すこと

著者らは、心理的ストレスと食事の関係は、栄養素の種類や、その栄養素をどんな食品からとっているかによって異なる可能性があると考察しています。砂糖については、ストレスへの一時的な対処として甘いものを選ぶ行動が関わりうる一方、ナトリウムは日々の食事や調味料に組み込まれた習慣的な摂取が中心で、ストレスの変化とは結びつきにくいのではないかという解釈です。

なお、この研究は一時点の関連を調べたもので、ストレスが砂糖の摂取を増やしたという因果関係までは示していません。また、ストレスとの関連が見られなかったからといってナトリウムが重要でないわけではなく、減塩は引き続き高血圧の食事管理に欠かせないと著者らは述べています。保健センターでの栄養指導では、食事の内容に加えてストレスへの対処にも目を向けることが役立ちうる、というのが研究から伝わるメッセージです。

著者:Fauziah Rizni Aprilia Rizal(Universitas Negeri Makasar)、M. Rachmat Kasmad(Universitas Negeri Makasar)、Yade K. Yasin(Universitas Negeri Makasar)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fauziah Rizni Aprilia Rizal, M. Rachmat Kasmad, Yade K. Yasin THE RELATIONSHIP BETWEEN STRESS LEVELS AND SUGAR AND SODIUM INTAKE AMONG HYPERTENSIVE PATIENTS AT BONTOMARANNU HEALTH CENTER. Multidisciplinary Indonesian Center Journal 2026-10-04. DOI: 10.62567/micjo.v3i3.3394. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。