著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:BMC Public Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

関節リウマチは、関節の内側にある滑膜に慢性的な炎症が続き、関節が少しずつ壊れていく自己免疫の病気です。論文によると、関節リウマチの患者では不安症を抱える人の割合が一般の人より高いと報告されており、二つの病気は互いに影響し合っている可能性があります。

食事は自分で変えられる生活習慣の一つで、自己免疫の病気や心の病気との関わりが研究されてきました。しかし著者らは、不安症のある人に限って、食事に含まれる栄養素や食品の組み合わせが関節リウマチの有無とどう関連するかは、まだ十分に分かっていないと指摘しています。そこで研究チームは、米国の大規模な健康・栄養調査のデータに機械学習を用い、不安症のある人で関節リウマチの有無と関連する食事の特徴を探りました。

何をどのように調べたか

研究チームは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の2005〜2018年の7回分のデータを使いました。ある一時点のデータを分析する横断研究です。対象は、処方薬の使用目的として「特定不能の不安症」の診断コードが記録されていた人、つまり薬で不安症の治療を受けている人に限りました。関節リウマチについては、医療者からリウマチと言われたことがあるという本人の回答で判断しています。

食事は、日を空けて2回行われた「前日24時間に何を食べたか」の聞き取り調査から把握しました。分析には二つの見方を用いました。一つはカルシウムやビタミン、葉酸などの栄養素の摂取量です。もう一つは、米国農務省のデータベースで同じ聞き取り結果を「果物」「乳製品」「魚介類」といった食品グループ別の量に置き換えたものです。必要な情報がそろった人は、栄養素の分析で1,334人(うち関節リウマチあり191人)、食品グループの分析で1,524人(同207人)でした。

研究チームは、互いに似すぎた変数を除き、重要な変数を選び出す手法で特徴を絞り込みました。そのうえで、ランダムフォレストなど6種類の機械学習モデルに、関節リウマチの有無を見分けさせました。データは学習用と検証用に7対3で分けています。さらに、モデルの判断にどの食事の特徴がどちら向きに効いていたかを読み解くため、SHAPやLIMEという「説明」の手法を使いました。

主な結果

6種類のモデルのうち、見分ける力が最も高かったのはランダムフォレストでした。見分ける力の指標にはAUCを使いました。AUCは1に近いほど区別がうまく、0.5ならでたらめと同じという指標です。検証用データでのAUCは、栄養素の分析で0.878、食品グループの分析で0.828でした。後の年の調査データを使った追加の分析でも、このモデルの性能は支持されたと報告されています。

モデルの判断を読み解いた結果、カルシウム、リコピン(トマトなどに含まれる色素)、葉酸、ビタミンDの摂取量は、「関節リウマチあり」と判定する方向とは逆向きに働く主な特徴として挙がりました。食品グループでは、果物、乳製品、n-3脂肪酸(いわゆるオメガ3)の多い魚介類が、同じく逆向きの特徴として示されました。

参加者の背景を比べると、関節リウマチのある人はない人に比べて年齢が高い傾向がありました。また、エネルギー、たんぱく質、食物繊維、脂質などの摂取量が少ない傾向も見られました。

この研究が示すこと

この研究は、薬で不安症の治療を受けている人では、食事の特徴が関節リウマチの有無と関連していることを、機械学習を使って示しました。ただし、ある時点のデータから関連を見たものであり、特定の栄養素や食品がリウマチを防ぐという因果関係を示したものではありません。

著者ら自身も、24時間の聞き取りは短期間の食事しか反映しないことを挙げています。また、調査を全国の人口構成に合わせて補正する重み付けを行っていないことも、限界として述べています。そのうえで、この結果を食事の指針に生かすには、参加者を長期間追う研究やランダム化試験での確認が必要だとしています。

原著論文の著者・所属:Zhenggang Xiong(Trauma Department of Orthopedics, The Second Qilu Hospital of Shandong University, 247 Beiyuan Ave, Jinan, Shandong , 250033, China)、Wei Yan(Trauma Department of Orthopedics, The Second Qilu Hospital of Shandong University, 247 Beiyuan Ave, Jinan, Shandong , 250033, China)、Yuzhen Ma(Trauma Department of Orthopedics, The Second Qilu Hospital of Shandong University, 247 Beiyuan Ave, Jinan, Shandong , 250033, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zhenggang Xiong, Wei Yan, Yuzhen Ma. Machine learning–driven identification of whole-food dietary patterns associated with anxiety and rheumatoid arthritis comorbidity patterns: evidence from the NHANES and the USDA MyPyramid Equivalents database. BMC Public Health 2026-10-23. DOI: 10.1186/s12889-026-30040-5. 原著ライセンス:CC BY.