掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ビタミンDは骨の健康に欠かせない栄養素として知られています。近年は、気分などの心の健康とも関係する可能性が指摘されています。ビタミンDは日光を浴びると皮膚で作られるほか、食品やサプリメントからもとることができます。
研究チームは、成人がビタミンDについてどの程度知り、どう考えているかを調べました。あわせて、日光を浴びる習慣やサプリメントの利用といったビタミンDに関わる要因が、抑うつ症状とどのように関連しているかを検討しました。
何を調べたか
調査はある一時点での状態を調べる横断研究として行われました。オンラインの質問票に回答した成人346人のデータが分析されています。質問票では、性別・学歴・居住地域などの基本情報に加え、屋外で過ごす時間や日光を浴びる時間帯、日焼け止めの使用、ビタミンDについての知識、サプリメントの利用状況を尋ねました。
抑うつ症状の程度は、PHQ-9という質問票で評価しました。PHQ-9は、過去2週間に「物事への興味や喜びがわかない」「気分が落ち込む」などの状態がどのくらいあったかを9項目で答えてもらう尺度です。合計点によって、症状の重さを段階に分けます。研究チームは、回答の組み合わせに偏りがあるかを統計的に調べる手法(カイ二乗検定)を用いて、各項目どうしの関連を分析しました。
回答者は女性が56.1%、大学卒業者が80.9%を占めていました。著者らは、回答者が若く、学歴が高く、都市部の学生が中心の集団であった点を、結果を解釈する際に考慮すべきだと述べています。
主な結果
ビタミンDについて聞いたことがある人は84.4%にのぼりました。一方、ビタミンDのサプリメントをとっていると答えた人は20.2%にとどまりました。「ビタミンD不足がうつに関係する」と考える人は45.7%でした。
この考えを持つかどうかは、二つの点と統計的に有意な関連を示しました。一つは、ビタミンD不足が心の健康に影響しうると知っていたかどうかです。もう一つは、医療者からうつ病と診断されたことがあるかどうかです。屋外で過ごす時間、日焼け止めの使用、性別、学歴、居住地域とは有意な関連はみられませんでした。
PHQ-9による抑うつ症状の重さは、日光を浴びる時間帯と有意に関連していました。屋外で過ごす時間の長さ、性別、居住地域とは有意な関連は認められませんでした。PHQ-9の平均点は軽度の範囲に当たり、論文では回答者の約41.6%が中等度から重度の段階に分類されたと報告されています。
この研究が示すこと
著者らは、ビタミンDに関する意識と抑うつとの間に関連がみられたこと、また日光を浴びるパターンが抑うつ症状と関係する要因となりうることを報告しました。ただし、この研究は一時点の回答を比べた調査です。そのため、示されたのは関連であり、ビタミンDや日光が抑うつの原因であることを確かめたものではありません。
さらに著者らは、ビタミンDを知っている人は多い一方で、サプリメントの利用は少ないことを指摘しています。知識と実際の行動の間に隔たりがあるという点も、この調査から見えてきた特徴の一つです。
原著論文の著者・所属:*Kammampati Upendar, Khammampati Keerthi
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):*Kammampati Upendar, Khammampati Keerthi. TO INVESTIGATE THE ASSOCIATION BETWEEN VITAMIN D STATUS AND DEPRESSIVE SYMPTOMS AMONG ADULTS THROUGH A CROSS-SECTIONAL STUDY. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-20. DOI: 10.5281/zenodo.23495594. 原著ライセンス:CC BY.