写真: あおもりくま / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
秋から冬にかけて、スーパーにおでんダネのセットが並び、家でおでんを煮る日が増えてきます。何度も作るうちに、いつも同じ味になりがちです。けれど、おでんは土地によって、入れる具も、つけるたれも違います。鍋の中身とたれを少し替えるだけで、よその土地のおでんを家で味わえます。
青森:しょうが味噌に、ツブ貝と根曲がりだけ
青森市のあたりでは、おでんをしょうが味噌で食べるのが普通で、コンビニのおでんにも、からしの代わりにしょうが味噌をつけてくれます。戦後の闇市の屋台で、真冬に青函連絡船で函館へ渡る客を温めようと、しょうが入りの味噌をかけて出したのが始まりといわれます。具にも土地の顔があり、陸奥湾のツブ貝や、根曲がりだけ(たけのこの一種)、薄くて大きなさつま揚げ「大角天」、大ぶりの「ぼたん焼きちくわ」が入ります。
家で作るなら、大根、こんにゃく、さつま揚げ、ゆで卵、ちくわで十分です。しょうが味噌は、赤味噌大さじ4、砂糖大さじ3、水150mlを小鍋で弱火にかけ、少しとろみがついたら火からおろします。粗熱がとれてから、すりおろしたしょうが25gを混ぜれば、5人分ができます。
愛知:豆味噌のたれに、里芋と焼き豆腐
愛知県の「味噌おでん」は、具の入った土鍋の真ん中に味噌壺を置き、豆味噌(赤味噌)のたれにつけて食べます。県内では、コンビニでおでんを買うと味噌だれがついてくるほどです。具は大根、里芋、こんにゃく、焼き豆腐、ちくわで、里芋は煮崩れしやすいので、ほかの具が煮えてから入れます。
たれは、赤味噌80gに砂糖大さじ4強、みりん大さじ1、ごま大さじ1を合わせ、温めて使います(4人分)。サラダ油を大さじ1ほど加えると、こくが出るそうです。土鍋に味噌壺を置かなくても、具を取り分けてから、たれをかけてかまいません。
姫路:しょうが醤油に、牛すじとごぼう天
兵庫県の姫路では、醤油にすりおろしたしょうがを加えた「しょうが醤油」をかけるか、つけて食べます。もともと姫路がしょうがと醤油の産地だったことが、この食べ方につながったと考えられています。具は牛すじのほか、大根、結び昆布、ちくわ、こんにゃく、糸こんにゃく、ゆで卵、ごぼう天、平天(さつま揚げ)などで、じゃがいもや厚揚げを入れる家庭もあります。
たれは、小皿の醤油にしょうがをおろすだけで、おでんのだしで割って、つけながら食べることもあります。残った具を刻んでお好み焼きに入れる家庭もあり、隣の高砂市では、おでんを食べた翌日に、残った具で「にくてん」というお好み焼きを作ったといいます。
静岡:黒いだしに黒はんぺん、青のりとだし粉
静岡市の「静岡おでん」は、具をすべて串に刺し、色の黒いだし汁で煮込みます。駿河湾でとれる魚で作る黒はんぺんと牛すじが主な具で、大根、こんにゃく、ゆで卵、結んだ昆布も串に刺して入れます。
食べるときは、器に盛ってから青のりと魚のだし粉をふり、からしを添えます。たれを作らなくても、ふりかけるものを替えるだけでも、静岡風になります。
東京:かつお節と昆布のだしに、ちくわぶ
東京のおでんは、かつお節と昆布でとっただしで煮込み、好みでからしを添えて食べます。具は大根、こんにゃく、しらたき、がんも、はんぺん、ゆで卵、じゃがいもなどで、ちくわぶを入れるのが特徴です。ちくわぶは名前にちくわとありますが魚ではなく、日本食品標準成分表(八訂)でも小麦の仲間に分けられています。
鍋は一つのままで構いません。いつもの具に、里芋や牛すじ、結び昆布、ちくわぶのどれかを一品足し、取り皿のそばに、しょうが味噌、味噌だれ、しょうが醤油の小皿と、青のりとだし粉を並べれば、一つの鍋で五つの土地のおでんがそろいます。
具とたれで土地がらのおでんの味を食べ比べてみるという楽しみ方は如何でしょうか。
※参考資料
以下の公開資料をもとにNutriMapが構成・執筆しました。