著者の所属・活動拠点の国は、マレーシアです。
掲載誌:The Open Agriculture Journal
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的:どの時期のどの特徴が収量と結びつくのか
コンニャク属の一種アモルフォファルス・ムエレリ(Amorphophallus muelleri)は東南アジア原産のイモ類です。地下にできる球茎(いわゆるコンニャク芋)には、水に溶ける食物繊維のグルコマンナンが多く含まれ、食品や医薬品などの原料として注目されています。論文によると、マレーシアでは自然林での自生が多く報告され経済的な可能性も認められていますが、大規模な商業生産の記録はまだありません。
研究チームは、半集約的な栽培条件で何が収量を左右するのかがよく分かっていない点に着目しました。そこで、植え付けに使う種芋(親球茎)の大きさごとに、収量の目安になりうる植物の形や重さの特徴を探すことを目的としました。あわせて、生育のどの時期に測った特徴が最終的な収量と最も強く結びつくのかも調べました。
調べた方法:日よけとカリウム施肥の畑で生育を測定
実験はマレーシアのプトラ大学農学部の圃場で、2024年12月から2025年6月にかけて行われました。種芋は小(20〜70グラム)と大(100〜150グラム)の2つの大きさに分けて植え付けました。畑は70%の遮光下に置き、植え付け9週後にカリウム肥料を0、75、150、225キログラム毎ヘクタール(酸化カリウム換算)の4段階で与えました。
植え付けから12週後と18週後に、各区画から1株ずつ掘り取って調べました。測ったのは、葉柄(地面から伸びて葉を支える茎のような部分)の高さと太さ、葉の緑色の濃さの指標、葉の面積、そして葉・葉柄・根それぞれの生の重さです。植物が枯れて休眠に入った27週後に残りの球茎をすべて収穫し、1株あたりの平均重量から面積あたりの収量を求めました。
分析では、小さい種芋と大きい種芋から育った株を分け、それぞれで各特徴と収量の関連を統計的に調べました。4段階の施肥の結果はまとめて扱いました。著者らは、この扱いはカリウム施肥が生育や収量に影響しないことを示すものではないと述べています。
主な結果:種芋の大きさで手がかりとなる部位が異なった
小さい種芋から育った株では、12週後に測ったどの特徴も収量と有意な関連を示しませんでした。18週後には、根の生重量が収量と最もはっきりした正の関連を示し、収量のばらつきの約43%を説明しました。
大きい種芋から育った株では、葉柄の生重量が収量と最も強く関連していました。12週後の葉柄の重さで収量のばらつきの約71%を説明でき、18週後には約42%に下がりました。つまり、大きい種芋の株では、より早い時期の葉柄の重さのほうが収量とよく結びついていました。
著者らは、この違いを次のように解釈しています。小さい種芋の株は蓄えが少ないため、根の発達の差が時間をかけて収量に表れた可能性があります。大きい種芋の株は蓄えが多く、地上部で光合成産物をつくり運ぶ力が収量とより強く結びついた可能性があります。また、この種は1枚の大きな複葉を広げたあと休眠前に枯れていくため、18週後には葉の衰えが進み、葉柄の重さと収量の関連が弱まったと考えられています。
研究が示すこと
この研究は、同じ畑でも種芋の大きさによって収量と結びつく植物の部位や時期が異なることを示しました。ただし、根や葉柄の重さを測るには株を掘り取ったり切り取ったりする必要があり、著者らは、これらを日常の畑で使える収量推定の道具とはみなすべきではないとしています。
また、1か所・1作期・1種類の遮光条件で、各区分16株という限られた調査に基づく探索的な関連として解釈すべきだとも述べています。それでも、小さい種芋と大きい種芋では収量のでき方の背景が異なりうることを具体的な部位の違いとして示した点に、この研究の意味があります。
原著論文の著者・所属:Muhammad Najib Othman Ghani、Martini Mohammad Yusoff(Department of Crop Science , Faculty of Agriculture , Universiti Putra Malaysia , 43400Serdang , Selangor , Malaysia;)、Azizah Misran(Department of Crop Science , Faculty of Agriculture , Universiti Putra Malaysia , 43400Serdang , Selangor , Malaysia;)、Juju Nakasha Jaafar(Department of Crop Science , Faculty of Agriculture , Universiti Putra Malaysia , 43400Serdang , Selangor , Malaysia;)、Arina Shairah Abdul Sukor(Department of Land Management , Faculty of Agriculture , Universiti Putra Malaysia , 43400Serdang , Selangor , Malaysia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muhammad Najib Othman Ghani, Martini Mohammad Yusoff, Azizah Misran, et al. Morphological Trait-based Prediction of Konjac (Amorphophallus muelleri Blume) Corm Yield Across Mother Corm Sizes Under Shaded and Potassium-fertilized Conditions. The Open Agriculture Journal 2026-10-02. DOI: 10.2174/01187433154381260929063307. 原著ライセンス:CC BY.