著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

健康診断で「肝機能」や「脂質」の数値を見て、コレステロールや血糖、肝臓の状態がどう関係しているのか気になったことはないでしょうか。近年、コレステロール・HDL(善玉コレステロール)・血糖値を組み合わせた「CHG指数」という新しい指標が、糖代謝や脂質代謝の乱れを反映する可能性がある指標として注目されています。今回紹介する研究は、このCHG指数と、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD、いわゆる脂肪肝の一種)との関係を、糖尿病のない成人を対象に調べたものです。あわせて、お腹まわりなどの体形の丸みを表す「ボディラウンドネス指数(BRI)」が、両者の関係にどのように関わっているのかも検討されています。

研究でわかったこと

この研究は、糖尿病のない日本人成人13,682人を対象にした横断研究(ある一時点のデータをもとに関連を調べる研究)です。研究チームは、多変量ロジスティック回帰分析や一般化加法モデル、二分割線形回帰分析といった統計手法を用いて、CHG指数とMASLDとの関連や、その関連が直線的ではなく曲線を描く「非線形」な関係になっていないかを調べました。また、CHG指数がMASLDをどの程度見分けられるかをROC曲線という手法で評価し、CHG指数とMASLDとの関連のうち、BRI(体形の丸み)がどの程度を統計的に説明しているかを媒介分析という手法で探索しています。

解析対象者のうち、MASLDに該当した人の割合は15.25%でした。さまざまな要因を調整したうえで、CHG指数が1単位上がるごとにMASLDのリスクが高い状態と独立して関連していることが示され(オッズ比4.46)、CHG指数を4つのグループに分けて比較すると、最も高いグループは最も低いグループに比べてリスクが高い状態との関連がみられました(オッズ比4.09)。さらに、CHG指数が5.52という値を境に、関連の強さが変化する非線形の閾値効果が確認されたと報告されています。CHG指数がMASLDを見分ける性能は良好で(AUC=0.84)、5.23という値を目安にすると感度81%・特異度73%で判別できたとされ、肥満でない人や若い年齢層においても比較的高い判別性能が保たれていたと報告されています。

媒介分析では、CHG指数とMASLDとの関連のうち46.15%がBRI(体形の丸み)によって統計的に説明される可能性が示されました。さらに、この媒介効果は肥満でない人や、中性脂肪の値が正常範囲にある人でより強く現れる傾向があったと報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、ある一時点でのデータをもとにした横断研究であり、CHG指数とBRI、MASLDとの間の因果関係(何が原因で何が結果か)を証明するものではありません。論文の著者らも、この経路の因果の向きについては今後の追跡調査での検証が必要だとしています。また、今回の媒介分析は「探索的」な位置づけであり、統計的に関連の一部を説明する要因としてBRIが浮かび上がったという段階の知見です。対象は糖尿病のない日本人成人という特定の集団であるため、結果がそのまま他の集団に当てはまるとは限りません。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意して読んでいただければと思います。

まとめ

今回の研究では、糖尿病のない日本人成人において、コレステロール・HDL・血糖から算出されるCHG指数がMASLD(脂肪肝)のリスクと独立して、かつ非線形に関連していることが示唆されました。また、その関連の一部を体形の丸みを表すBRIが統計的に媒介している可能性があり、特に肥満でない人や若い年齢層において、CHG指数が早期のリスク層別化に役立つ可能性のある低コストな指標になり得ると論文では述べられています。ただし、これらはあくまで統計的な関連であり、今後さらなる研究による検証が期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):非糖尿病成人におけるCHG指数とMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)との非線形関連におけるボディラウンドネス指数の媒介効果の探索的分析(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年07月)

原著論文の著者・所属:Yanyan Xuan(Department of Hospital Infection, The First Affiliated Hospital of Ningbo University, Ningbo, Zhejiang, China)、Yanyan Xuan(Department of Hepatology, The First Affiliated Hospital of Ningbo University, Ningbo, Zhejiang, China)、Yanyan Xuan(Department of Geriatrics Medicine, The First Affiliated Hospital of Ningbo University, Ningbo, Zhejiang, China)、Jingbo Yu(Department of Geriatrics Medicine, The First Affiliated Hospital of Ningbo University, Ningbo, Zhejiang, China)、Qi Yao(Department of Geriatrics Medicine, The First Affiliated Hospital of Ningbo University, Ningbo, Zhejiang, China)