この研究は、中国の研究機関の研究論文です。
掲載誌:International Journal of Food Properties
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
二種類のケフィア粒を比べる目的
ケフィアは伝統的な発酵食品で、「ケフィア粒」と呼ばれる塊の中で、複数の微生物が互いに支え合いながら暮らす共生微生物群によってつくられます。著者らは、ケフィアの成分や働きが、ケフィア粒を育てる培地、つまり何に漬けて発酵させるかによって強く左右されると述べています。
ケフィア粒には主に二つの種類があります。牛乳などのミルクで育てる「ミルク系ケフィア粒」と、砂糖水にさまざまな材料を加えて育てる「ウォーター系ケフィア粒」です。論文によると、ウォーター系は南米の一部の地域で広く飲まれています。ミルクと砂糖水は栄養の中身が大きく異なるため、二つのケフィアは、含まれる微生物の顔ぶれ、代謝の働き、健康に関わる性質の点で違っている可能性が高いと著者らは考えています。
一方で、これまでの研究はミルク系ケフィアに大きく偏っており、ウォーター系ケフィアについての体系的な調査はまだ限られていると著者らは指摘しています。また、ミルク系のほうが健康に良いという主張は、二つを直接比べた証拠よりも、「栄養豊富な培地で育つのだから優れているはずだ」という想定に基づいていることが多いとも述べています。この空白を埋めることが、本研究の目的です。
既存の文献をまとめて比較
この論文は新たな実験を行う研究ではなく、すでに発表された研究をまとめて整理する「レビュー論文」です。研究チームは、ミルク系とウォーター系のケフィア粒について、微生物の構成と、これまでに報告されてきた健康上の利点に関する文献を体系的に集め、両者を比較しました。
主な結果
著者らがまとめた証拠からは、ミルク系ケフィアのほうが、一般に微生物の多様性が高く、発酵によって生じる代謝物の種類もより豊富である傾向が示されたと報告されています。代謝物とは、微生物が発酵の過程でつくり出す物質のことです。
この研究が示すもの
著者らは、この比較によって二種類のケフィアそれぞれの特徴がはっきりしたとしています。そして、その整理が伝統的な発酵方法を改善したり、今後の研究や利用の方向を考えたりする際の参考になると述べています。研究が手薄だったウォーター系ケフィアを、ミルク系と同じ土俵で見比べようとした点に、このレビューの意義があるといえます。
著者:FAN DING(Shenzhen MSU-BIT University)、Zhuoyu He(Shenzhen MSU-BIT University)、Jiayu He(Shenzhen MSU-BIT University)、Tariq Aziz(Shenzhen University)、LiQing Zhao(Shenzhen University)、Lan Yu(Huzhou Normal University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):FAN DING, Zhuoyu He, Jiayu He, et al. A comparative review of microbial composition and health benefits of “milk-based” and “water-based” kefir grains. International Journal of Food Properties 2026-10-05. DOI: 10.1080/10942912.2026.2715181. 原著ライセンス:CC BY.