著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。
掲載誌:ChemFoodChem
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
砂糖の代わりに甘みを付ける人工甘味料の研究には、長期的な健康への影響、食品技術や規制に関する問題、環境への影響など、さまざまな課題があります。著者らは、こうした課題には複数の分野を横断した取り組みが必要だとしています。
この論文は、既存の知見をまとめた短いレビュー(総説)です。抄録によると、欧州連合(EU)で現在人工甘味料として承認されている10種類の物質を取り上げ、食品の中での化学的な変化から腸内の微生物による処理までを整理しています。
何を取り上げたか
著者らは主に二つの観点から人工甘味料を論じています。一つ目は化学的な安定性です。承認された用途の範囲内と範囲外の両方について、食品の加工や保存の条件で甘味料が分解されずに保たれるかを扱い、あわせて自然環境(生態系)の中での安定性にも触れています。
二つ目は、腸内に住む微生物の集まりである腸内細菌叢との関わりです。甘味料が微生物によって代謝されるのか、また甘味料が細菌叢の構成に影響するのかを整理しています。
主な報告内容
抄録によると、著者らは、これらの承認甘味料が承認用途の範囲内でも範囲外でも、食品の加工や保存の条件下で化学的に安定であることを示しています。
そのうえで、安定性に限界があることが特にはっきりしているのは、アスパルテームのようにペプチド(アミノ酸がつながった構造)を基にした甘味料で、酸性の条件下だとしています。また、すべての甘味料について、分解によって生じる個別の物質(分解生成物)がこれまでに報告されているものの、それらが実際にどの程度生じているのか、どのような毒性があるのかについてのデータは乏しいと述べています。
腸内微生物との関係では、シクラメートやアセスルファムKなど一部の甘味料が、腸内細菌叢に関係する微生物によって代謝されうると述べています。一方、サッカリンやスクラロースなどの甘味料は、腸内細菌叢の構成を変えうるとしています。
この研究が伝えること
このレビューは、EUで承認されている人工甘味料が食品の加工や保存の条件では全体として化学的に安定である一方、酸性条件下のペプチド系甘味料のような例外があることを整理しています。さらに、分解生成物の発生状況や毒性についてはデータが不足していること、そして一部の甘味料は腸内微生物によって代謝されたり、細菌叢の構成に影響したりしうることを示しており、人工甘味料を理解するには分野をまたいだ検討が求められることを伝えています。
著者:Jürgen Lassak(Faculty of Biology Ludwig‐Maximilians Universität München Planegg‐Martinsried Germany)、Michael Hellwig(Chair of Special Food Chemistry Technische Universität Dresden Dresden Germany)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jürgen Lassak, Michael Hellwig. Dietary Artificial Sweeteners: From Chemical Transformation in Food to Gut Microbial Processing. ChemFoodChem 2026-10-14. DOI: 10.1002/cfch.70044. 原著ライセンス:CC BY.