著者の所属・活動拠点の国は、ガーナです。
掲載誌:Food Research International Translational Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
シアバターは、サハラ以南アフリカに自生するシアの木の実(シアナッツ)からとれる油脂です。この論文は、シアナッツを加熱する「焙煎」の技術と、そこからシアバターを取り出す「抽出」の技術の現状を整理した総説(既存の研究をまとめて論じる論文)です。手作業中心の小規模生産から工業的な生産まで幅広く扱っています。
著者らは技術面に加えて、シアの産地である地域社会にとってシアバターが重要な経済資源であることにも注目しています。紹介はこの論文の抄録に基づきます。
比べられた加工方法と焙煎機
抽出方法として検討されたのは、伝統的な手作業の方法、一部を機械化した方法、全工程を機械化した方法です。さらに、溶媒を循環させて油を抽出するソックスレー法、酵素を使う方法、マイクロ波を使う方法、超臨界二酸化炭素を使う方法も取り上げられています。超臨界二酸化炭素とは、高い圧力と温度をかけて液体と気体の中間のような状態にした二酸化炭素のことです。
焙煎については、ドラム式焙煎機、回転ドラム式焙煎機、Burn Design Lab(BDL)型焙煎機、蒸気式焙煎機といった改良型の機械が比較されました。
主な報告結果
著者らによると、BDL型焙煎機は従来技術が抱えていた多くの欠点を改善しています。ただし、ドラムの容量が小さいこと、排出物の多い木材を燃料にすること、作業に必要な労働の負担が大きいことなど、目立った課題も残っていると報告しています。
品質の面では、遊離脂肪酸の含有量、酸価、過酸化物価がシアバターの品質を左右する指標として挙げられています。遊離脂肪酸と酸価は油脂の分解の進み具合を、過酸化物価は酸化の程度を示す目安です。また論文は、収穫後の加熱処理が、植物の油糧種子からとれる油の量と、その油の物理的・化学的な性質の両方に影響することを示しています。
一方で、伝統的な抽出方法で質の高いシアバターをつくるための最適な焙煎条件は、まだ定まっていません。著者らは、この点についてさらに研究が必要だと述べています。
この研究が示すこと
著者らは、小規模なシア加工の現場で再生可能エネルギー技術を取り入れる利点を強調しています。そのうえで、BDL型の課題を解決するため、複数の燃料に対応し環境負荷の小さい焙煎機の開発を呼びかけています。
この総説からは、シアバターの品質と産地の経済的な価値を高めるには、抽出方法だけでなく焙煎の工程と、その際に使うエネルギーの見直しも重要だという視点が読み取れます。
原著論文の著者・所属:Abdallah M. Habib(Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, Tamale Technical University P.O. Box ER 3, Tamale, Ghana; Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, University of Mines and Technology, P.O. Box 237, Tarkwa, Ghana)、Clement A. Komolafe(Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, University of Mines and Technology, P.O. Box 237, Tarkwa, Ghana)、Anthony Simons(Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, University of Mines and Technology, P.O. Box 237, Tarkwa, Ghana)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abdallah M. Habib, Clement A. Komolafe, Anthony Simons. Innovative SHEA butter processing techniques: Towards enhancing economic value and nutritional quality. Food Research International Translational Research 2026-10-13. DOI: 10.1016/j.frintr.2026.100023. 原著ライセンス:CC BY.