著者の所属・活動拠点の国は、アンドラ、チェコ、チリ、ブラジル、スペインです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

カフェイン入り飲料やエナジードリンク、砂糖入り飲料は、眠気覚ましや疲労対策として日常的に利用されています。とりわけ勤務時間が不規則で高い覚醒状態を求められる軍人にとって、こうした飲料は身近な存在と考えられますが、複数の飲料をどのように組み合わせて飲んでいるか、そのパターンと睡眠や疲労との関係を調べた研究はあまり多くありませんでした。今回紹介する研究は、スペイン陸軍の現役職業軍人1155人を対象に、カフェイン飲料・砂糖入り飲料・エナジードリンクの摂取頻度の組み合わせパターンを明らかにし、それが自己申告の睡眠や日常的な身体的疲労とどう関連するかを横断的に検討したものです。

どのように調べたのか

研究チームは、カフェイン入り飲料、砂糖入り飲料、エナジードリンクという3種類の飲料について、それぞれの摂取頻度を段階的な尺度(順序尺度)で回答してもらい、そのデータから「潜在クラス分析」という統計手法を用いて、似た摂取傾向を持つ人々をグループ分けしました。ここで扱われたのはあくまで摂取頻度のカテゴリーであり、カフェインの実際の摂取量や砂糖の量、飲料の標準的な提供サイズを直接測定したものではない点が明記されています。そのうえで、年齢や職務内容、訓練状況、水分補給の習慣、飲酒、喫煙、採用された時期(コホート)といった要因を統計的に調整しながら、睡眠時間・睡眠効率・身体的疲労との関連を分析しています。

浮かび上がった3つの飲料摂取パターン

分析の結果、対象者は「低頻度群」(全体の47.7%)、「中頻度群」(28.3%)、「高頻度群」(24.0%)という3つのグループに分類されました。低頻度群と比べて高頻度群では、1晩あたりの睡眠時間が平均0.230時間(約13.8分)短く、睡眠効率も2.129ポイント低く、日常的な身体的疲労のスコアが0.395ポイント高いという関連が示されました。これらの差はいずれも統計的に有意とされていますが、論文の著者らは、睡眠効率や疲労スコアの差が実際にどれほど体感できるものか、あるいは健康上どの程度意味を持つのかは、今回の自己申告に基づくデータだけでは判断できないと述べています。感度分析(分析方法を変えて結果の頑健性を確認する追加検証)でも、結果の方向性はおおむね一致していたとされています。

この研究を読むうえでの注意点

この研究はある一時点での横断的な調査であり、飲料の摂取パターンが睡眠や疲労の原因になっているのか、逆に睡眠不足や疲労が飲料の飲み方に影響しているのかという前後関係(時間的な順序)は明らかにできません。また、摂取頻度のデータであるためカフェインの具体的な摂取量や飲むタイミングまでは分かっておらず、著者らは、製品ごとの摂取量やタイミングの情報を含む前向き研究が今後必要だと述べています。あくまで一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意してください。

まとめ

今回の研究では、スペイン陸軍の職業軍人においてカフェイン飲料・砂糖入り飲料・エナジードリンクの摂取頻度が3つのパターンに分かれ、頻度が高いグループほど睡眠時間が短く、睡眠効率が低く、身体的疲労が高い傾向が横断的に認められたと報告されています。ただし因果関係は不明であり、実際の摂取量やタイミングを踏まえたさらなる研究が求められています。

原著論文の著者・所属:Vicente Javier Clemente‐Suárez(Department of Sport Sciences, Faculty of Sport and Health Sciences, Fit Generation Research Institute, AD400 Andorra la Vella, Andorra)、Jan Florián(University of Defence, 66210 Brno, Czech Republic)、Rodrigo Yañéz‐Sepúlveda(Faculty of Education and Humanities, School of Sports Science, Universidad Andrés Bello, Viña del Mar 2520000, Chile)、Julio A. Ceniza-Villacastín(Grupo de Pesquisa Atleta Tático (GPAT), Brazilian Army, Rio de Janeiro 22291-090, Brazil)、José Francisco Tornero-Aguilera(Department of Sport Sciences, Faculty of Sport and Health Sciences, Fit Generation Research Institute, AD400 Andorra la Vella, Andorra)、Alexandra Martín-Rodríguez(Faculty of Health Sciences, UNIE University, 28015 Madrid, Spain)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Vicente Javier Clemente‐Suárez, Jan Florián, Rodrigo Yañéz‐Sepúlveda, et al. Beverage Co-Consumption Profiles, Sleep, and Fatigue in Professional Army Personnel. ニュートリエンツ (2026). DOI: 10.3390/nu18172930. 原著ライセンス: cc-by.