アフリカや東南アジアなどで古くから食べられてきた葉物野菜「アマランサス」をご存じでしょうか。栄養価の高い在来野菜として知られていますが、日常的にたくさん食べてもらうにはひと工夫が必要です。そこで研究者たちが目をつけたのが、私たちにとって身近な焼き菓子「マフィン」でした。アマランサスの葉を粉末にして小麦粉に混ぜ込むことで、栄養価を高めつつ、みんなが食べたいと思えるマフィンを作れないか、という発想です。おいしさと栄養はしばしばトレードオフの関係になりがちですが、その最適なバランス点を探ろうとしたのが今回の研究です。

研究でわかったこと

研究チームは、Amaranthus cruentus(アマランサス)という植物の葉を粉末にし、小麦粉との配合比率を0:100、10:90、30:70、50:50の4パターンに変えてマフィンを作りました。それぞれのマフィンについて、エネルギー量や水分・炭水化物などの一般成分、ミネラル、ビタミン、アミノ酸の含有量を分析するとともに、消費者による官能評価(色・香り・食感・味・総合的な好ましさ)も行っています。

その結果、アマランサス葉粉末を加えたマフィンは、小麦粉のみのマフィンと比べて、エネルギー・水分・炭水化物の値が有意に低くなることが示されました。一方で、消費者による評価では、配合比率が30%および50%になると、色・香り・食感・味・総合的な好ましさのいずれについても、小麦粉のみのマフィンより有意に評価が下がることが確認されています。

これらの結果から研究チームは、アマランサス葉粉末の添加は栄養特性の改善につながる一方で、受容性(食べやすさ・好まれやすさ)は低下する傾向があると結論づけています。特に10%配合のマフィンについては、30%や50%と比べて消費者にまずまず受け入れられたとされ、栄養面と受容性のバランスを取るうえで、10%配合が最適な選択肢として推奨されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、アマランサス葉粉末を使ったマフィンという一つの食品・条件設定のもとで得られた結果であり、これをもって健康効果や栄養改善効果が確立されたと断定するものではありません。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意が必要です。また、要旨で示されているのはあくまで配合比率による成分値や官能評価の違いであり、それ以上の効能や安全性について言及されているわけではありません。

とはいえ、身近な焼き菓子に在来の葉物野菜を取り入れるというアイデアは、食習慣の多様化や地域の食材活用という観点からも興味深い切り口といえるでしょう。

まとめ

アマランサス葉粉末を小麦粉に混ぜてマフィンを作ったところ、配合量が増えるほどエネルギーや炭水化物が減る一方、消費者の評価(色・香り・食感・味・総合評価)は特に30%以上で下がることが示されました。研究チームは、栄養特性の向上と消費者受容性のバランスという観点から、10%配合のマフィンが、アマランサスの消費を後押しするうえで有望な選択肢になりうるとしています。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:アマランサス(Amaranthus cruentus)葉粉末を強化したマフィンの化学的特性と消費者受容性(フードリサーチ・2026年08月)