著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Israeli Journal of Aquaculture - Bamidgeh

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、オオクチバスの飼料に加えるトチュウ(Eucommia ulmoides)抽出物の量によって、成長や肝臓の抗酸化能力、腸の組織、腸内細菌の構成がどう変わるかを調べました。背景には、集約的な養殖で成長や健康状態を支える飼料添加物が求められる一方、この抽出物がオオクチバスの腸内細菌に及ぼす影響は十分に調べられていないという課題がありました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、平均体重48.94グラムのオオクチバス990尾を、1槽55尾ずつ18槽に無作為に分け、120日間飼育しました。飼料への抽出物の添加量は、無添加、0.3‰、0.6‰、0.9‰、1.2‰、1.5‰の6条件で、各条件に3槽を割り当てました。‰は千分率で、0.9‰は飼料1キログラム当たり0.9グラムに相当します。

体重増加、生存率、体重を増やすのに必要な飼料量を表す飼料要求率などを比較しました。さらに、血液中の成分や肝臓の抗酸化指標を測り、肝臓と腸の組織を観察しました。腸内細菌については、細菌の種類を見分ける目印となる16S rRNA遺伝子の配列を解析し、細菌の多様性や構成を比較するとともに、持っている機能を推定しました。

主な報告結果

研究チームが最も良好な成長を報告したのは0.9‰群でした。無添加群より体重増加が有意に大きく、飼料要求率は最も低くなりました。0.6‰群と1.2‰群も無添加群より体重増加が有意に大きかった一方、0.3‰群と1.5‰群には有意な差がありませんでした。生存率には群間で有意な差がありませんでした。

肝臓の組織観察では、0.9‰群は細胞の配列が最も整い、細胞内の空胞や病変は認められなかったと報告されています。一方、1.2‰群と1.5‰群では、細胞内の空胞や核の位置のずれ、組織の配列の乱れが見られました。抗酸化指標は種類によって反応が異なりましたが、総抗酸化能力は0.9‰群で最も高く、1.2‰群と1.5‰群を有意に上回りました。

腸では、0.9‰群で絨毛の密度が他のすべての群より有意に高くなりました。絨毛は腸の内側にある、栄養吸収に関わる突起です。また、1.2‰群と1.5‰群では、粘液を分泌する杯細胞の数が無添加群より有意に多くなりました。

腸内細菌の構成も添加量によって変わりました。0.9‰群では、Clostridium sensu stricto 1という細菌群が全体の13.61%を占め、無添加群と1.2‰群、1.5‰群の0.1%未満に比べて多くなっていました。ただし、細菌の多様性が最も高かったのは0.3‰群で、成長が最も良かった群とは一致しませんでした。遺伝子配列から推定した大分類の機能には、群間で有意な差がありませんでした。

この報告が示すこと

著者らは、今回の飼育条件では0.9‰を最適な添加量と位置づけました。添加量を増やせば効果も高まるのではなく、適度な量で成長上の利点が現れる一方、多い量では組織に好ましくない変化が生じる、二相性の反応があると結論づけています。

著者らは、腸内細菌の変化が胆汁酸や短鎖脂肪酸の代謝を介して肝臓の働きや成長に関わる可能性を提案しています。ただし、この仕組みは仮説であり、細菌の機能解析も遺伝子配列に基づく推定です。今回の報告は、抽出物の評価には添加量だけでなく、成長、腸、肝臓を合わせて見ることが重要だと示しています。

原著論文の著者・所属:Yuan Tian(Dingyuanchun Modern Agriculture Technology Co., Ltd. of Gushi County, Xinyang 464000, China; Fishery Biological Engineering Technology Research Center of Henan Province, Xinyang 464000, China; School of Fisheries, Xinyang Agriculture and Forestry University, Xinyang 464000, China)、Shufang Gao(Fishery Biological Engineering Technology Research Center of Henan Province, Xinyang 464000, China; School of Fisheries, Xinyang Agriculture and Forestry University, Xinyang 464000, China)、Yang Zhou(Xinyang Nanwan Reservoir Fishery Development Co., Ltd., Xinyang 464000, China)、Yongmou Chen(Changsheng Agricultural Professional Cooperative of Guangshan County, Xinyang 464000, China)、Honghua Li(Luoshan County Yuyang Agricultural Development Co., Ltd., Xinyang 464000, China)、Guilin Chi(Dingyuanchun Modern Agriculture Technology Co., Ltd. of Gushi County, Xinyang 464000, China)、Yongxu Cheng(School of Marine Sciences, Ningbo University, Ningbo 315832, China)、Xusheng Guo(Fishery Biological Engineering Technology Research Center of Henan Province, Xinyang 464000, China; School of Fisheries, Xinyang Agriculture and Forestry University, Xinyang 464000, China)、Jin Meng(Fishery Biological Engineering Technology Research Center of Henan Province, Xinyang 464000, China; Luoshan County Yuyang Agricultural Development Co., Ltd., Xinyang 464000, China; School of Fisheries, Xinyang Agriculture and Forestry University, Xinyang 464000, China)、Yongtao Tang(Changsheng Agricultural Professional Cooperative of Guangshan County, Xinyang 464000, China; Fishery Biological Engineering Technology Research Center of Henan Province, Xinyang 464000, China; School of Fisheries, Xinyang Agriculture and Forestry University, Xinyang 464000, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yuan Tian, Shufang Gao, Yang Zhou, et al. Dose-dependent biphasic effects of Eucommia ulmoides extract on growth performance and gut-microbiota-liver axis in largemouth bass ( Micropterus salmoides ). Israeli Journal of Aquaculture - Bamidgeh 2026-11-06. DOI: 10.46989/001c.172499. 原著ライセンス:CC BY.