著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Microorganisms
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
定植が遅れた苗の生育を調べる
研究チームは、植え替えの適期を過ぎたイチゴ苗にバチルス属の細菌を接種すると、その後の生育や根の代謝がどう変わるかを調べました。小さな区画に分かれた育苗トレーで育てるプラグ苗は、定植が遅れると根が容器内で巻き込み、取り出す際に傷つきやすくなるなど、生育上の問題が生じます。
実験には、適期より約5~8週間遅れた、育苗開始から12週間の「紅ほっぺ」の苗を使いました。バチルス・シアメンシスKP3P9、バチルス・サブチリスK13Cをそれぞれ単独で接種する群、両方を接種する群、接種しない対照群を比較しました。定植から3か月後に草丈や株の重さ、根の形状を測り、根に含まれる代謝物も幅広く分析しました。
どの接種群でも草丈と株の重さが増加
著者らの報告では、細菌を接種した3群はいずれも、接種しなかった群より草丈と株全体の生重量が統計的に有意に大きくなりました。草丈は対照群の1.30~1.53倍、生重量、つまり乾燥させる前の重さは4.18~5.17倍でした。
根にも違いが見られました。平均的な根の太さは3つの接種群すべてで増し、単独接種の2群では根の表面積も有意に増加しました。併用群は対照群に対する草丈の増加が最も大きかった一方、株全体の生重量や一部の根の指標では単独接種群の値が上回りました。2種類を合わせることが、すべての生育指標で最大の効果につながったわけではありません。
生育の変化とともに、根の成分構成も変わる
根の代謝物の分析では、3つの接種群に共通してステロイド類が増え、フラボノイド類や糖類などが減っていました。一方、単独接種の2群ではポリフェノール類やテルペノイド類が増え、併用群ではアミノ酸類が増えるなど、処理ごとに異なる変化も報告されました。対照群との間で量に差がある代謝物の数は、併用群が最多でした。
研究チームは、こうした根の代謝の変化が生育促進と関係すると考えています。ただし、特定の代謝物の増減が生育を促したという因果関係までは確かめられていません。また、適期に定植した苗との比較は行っていないため、定植の遅れによる影響を和らげたのか、一般的な生育促進だったのかは区別できません。今回の研究は、定植が遅れたイチゴ苗で、細菌の接種に伴う生育促進と根の代謝変化が見られ、その現れ方が菌株や組み合わせによって異なることを示しています。
原著論文の著者・所属:Feng Liu(Shanxi Agricultural University, Taiyuan 030031, China)、Likai Zhang(Shanxi Agricultural University, Taiyuan 030031, China; Shanxi Key Laboratory of Germplasm Improvement and Utilization in Pomology, Taiyuan 030031, China)、Huifang Zhao(Shanxi Agricultural University, Taiyuan 030031, China)、Jianli Xia(Shanxi Agricultural University, Taiyuan 030031, China; Shanxi Key Laboratory of Germplasm Improvement and Utilization in Pomology, Taiyuan 030031, China)、Sijian Guo(Shanxi Agricultural University, Taiyuan 030031, China; Shanxi Key Laboratory of Germplasm Improvement and Utilization in Pomology, Taiyuan 030031, China)、Chunzhen Cheng(Shanxi Key Laboratory of Germplasm Improvement and Utilization in Pomology, Taiyuan 030031, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Feng Liu, Likai Zhang, Huifang Zhao, et al. Growth Promotion of Delayed-Transplanted Strawberry Plug Seedlings by Single- and Combined-Strain Inoculation of Bacillus spp.. Microorganisms 2026-09-22. DOI: 10.3390/microorganisms14102135. 原著ライセンス:CC BY.