著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Toxins

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

紅麹製品に適した測定法を目指して

研究チームは、紅麹や紅麹を使った健康食品、着色料の紅麹色素に含まれるボンクレキン酸(BA)とイソボンクレキン酸(IBA)を、同時に測定する方法を開発しました。BAは細菌がつくる毒性物質で、IBAはBAから変化して生じる、分子の立体的な構造が異なる物質です。

紅麹製品には測定を妨げる成分が多く、ほかの食品向けの方法では、目的の物質を十分に取り出せなかったり、測定機器の信号が弱まったりする問題がありました。著者らは、こうした食品の特徴に合わせて分析条件を整え、市販品の汚染状況も調べました。

乾燥した食品の内部から取り出す工夫

研究チームが用いたのは、成分を分離して質量の情報から物質を識別・測定する液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(LC-MS/MS)です。測定前にBAとIBAを溶媒で取り出し、専用のカートリッジで妨害成分を除く工程や、機器内で成分を分離する条件を検討しました。

条件の検討では、試料にBAとIBAを加えただけのものと、水とともに混ぜてから凍結乾燥させたものを比較しました。単に加えた試料では抽出できても、乾燥した食品内部に取り込まれた状態を模した試料では、十分に取り出せない場合がありました。著者らはこの結果から、乾燥食品の抽出条件を評価するには、物質を表面に加えるだけでは不十分だと報告しています。

最終的に、水を含むアルカリ性のメタノール溶液で40分間の超音波抽出を行い、精製と分離の条件を調整しました。加えた量に対して測定で回収できた割合は、同じ日に行った検証で88.4~107%でした。量を測定できる下限は、BAとIBAのいずれも紅麹と紅麹健康食品で1.0マイクログラム毎キログラム、紅麹色素で1.5マイクログラム毎キログラムと報告されました。

市販の135試料を調べた結果

研究チームは、店頭やオンラインで購入した紅麹80試料、紅麹健康食品26試料、紅麹色素29試料に、この方法を適用しました。BAが検出された割合は、それぞれ22.5%、19.2%、20.7%でした。IBAも、いずれの製品群からも検出されました。

BAの最高濃度は、紅麹で17.7マイクログラム毎キログラム、紅麹健康食品で9.1マイクログラム毎キログラム、紅麹色素で1320マイクログラム毎キログラムでした。IBAの最高濃度も紅麹色素で最も高く、1647マイクログラム毎キログラムでした。著者らは、紅麹色素の一部で高濃度のBAが見つかったことに注意を促しています。

変化した物質も含めて捉える

著者らは、加工や保存中にBAからIBAへの変化が起こるため、汚染状況を把握するには両方を測る必要があるとしています。また、分析の基準に使うBAの標準溶液でも、6か月を超えて保存したものからIBAが確認され、基準となる溶液の管理も測定に重要だと報告しました。

この研究は、紅麹製品に含まれる妨害成分への対処と、BAからIBAへの変化の把握を組み合わせることが、汚染の実態を測るうえで重要だと示しています。

原著論文の著者・所属:Yuan Guo(NHC Key Laboratory of Food Safety Risk Assessment, China National Center for Food Safety Risk Assessment, Beijing 100026, China)、Yuxin An(NHC Specialty Laboratory of Food Safety Risk Assessment and Standard Development, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China)、Jiaojiao Xu(NHC Specialty Laboratory of Food Safety Risk Assessment and Standard Development, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China)、Zengxuan Cai(NHC Specialty Laboratory of Food Safety Risk Assessment and Standard Development, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China)、Meijia Xu(NHC Specialty Laboratory of Food Safety Risk Assessment and Standard Development, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China)、Xiaomin Xu(NHC Specialty Laboratory of Food Safety Risk Assessment and Standard Development, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China; Zhejiang Key Laboratory of Public Health Detection and Pathogenesis Research, Zhejiang Provincial Center for Disease Control and Prevention, Hangzhou 310051, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yuan Guo, Yuxin An, Jiaojiao Xu, et al. Determination of Bongkrekic Acid and Iso-Bongkrekic Acid in Red Yeast Rice and Its Related Products by Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry. Toxins 2026-09-22. DOI: 10.3390/toxins18100407. 原著ライセンス:CC BY.