この研究は、ナイジェリアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Journal of Energy Research and Reviews

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

家庭の調理には液化石油ガス(LPG)が広く使われています。研究チームは、その代わりに再生可能エネルギーで水素をつくり、調理に使う小型システムが成り立つかどうかを検討しました。

構想では、太陽光でつくった電気で水を分解して水素を発生させる「電気分解」を中心に、電解液の循環、水素の分離、圧縮、貯蔵、そしてバーナーへの供給までを一つのシステムとしてまとめています。

必要な水素量の見積もりと試作装置

著者らは設計の出発点として、1日あたりのLPG平均使用量を0.5キログラム、LPGのエネルギー量を1キログラムあたり46.4メガジュールとし、1日に必要な熱量を23.2メガジュールと計算しました。水素のエネルギー量を1キログラムあたり120メガジュールとすると、必要な水素は約0.193キログラムで、それに対応する水の量は1.737キログラムと見積もられています。

実験では、4つのセルからなるアルカリ電解装置を製作しました。アルカリ電解とは、水酸化物などを溶かしたアルカリ性の液を電解液として水を分解する方法です。電解液のアルカリ性の強さをpH11から13の範囲で変え、12ボルト・20アンペアの条件で運転しました。

主な結果

60秒間の試験で測定した水素の量は、pH11では3.03ミリリットルでしたが、pH13では5.33ミリリットルに増えました。試験した範囲では、電解液のアルカリ性が強いほど水素の発生量が多くなったと報告されています。

研究チームは、家庭用システムのための圧縮と貯蔵についても見積もりを示しました。一方で、調理用に選んだ「Meko」バーナーでは、水素を燃やし続けることができませんでした。

研究が示すこと

論文は、この成果を試作段階で水素を発生させられたことの実証であり、生産から圧縮、貯蔵、供給までをつなぐ構想の設計情報になると位置づけています。

ただし、実際の家庭で調理に使えることは示されていません。著者らは、バーナーとの適合性、ガスの取り扱い、安全性、貯蔵との統合、現実的な条件でのシステム全体の性能がまだ課題として残っているとしています。太陽光由来の水素を調理に使う構想について、どこまでが確認でき、何が未解決なのかを整理した研究といえます。

著者:Quadri Nasiru(Department of Agricultural and Environmental Engineering, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Taye Stephen Mogaji(Department of Mechanical Engineering, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Ayodele Ebenezer Ajayi(Department of Agricultural and Environmental Engineering, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Kolade Babafemi Tuyi(Center for Renewable Energy Technology, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Quadri Nasiru, Taye Stephen Mogaji, Ayodele Ebenezer Ajayi, et al. Production of Hydrogen Gas for Cooking. Journal of Energy Research and Reviews 2026-10-05. DOI: 10.9734/jenrr/2026/v18i10548. 原著ライセンス:CC BY.